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世界樹リプレイ日記(第四階層)

※本記事には「世界樹の迷宮Ⅰ」の重大なネタバレを含みます。

(↓前回の話)


B16F

 君たちがクイーンアントと再戦した時やシトラが水辺の処刑者に挑んでいた時から、時間はやや前後する。第三階層を踏破し、B16Fの探索を進めていた君たちだったが、それより下に進む道を見つけられずにいた。森の奥に進み、隠し通路か何かが無いか探っていると、君たちの行く手を塞ぐような木々の壁、その木の一つに明らかに人工的なくぼみがあることを見つけた。何かがはまりそうなくぼみだった。

 君たちは前に手に入れた石板を思い出した。第三階層でコロトラングルを撃退した際、謎の少女が落としていった石版。目の前のくぼみは、その石板がぴったりとはまりそうな大きさをしていた。だが、その石板は今は手許に無く、執政院に取り上げられ預けたままでいた。君たちは執政院から石板を返してもらうようお願いしに行くことにした。
 
 執政院に石板の返却を依頼すると、その条件として新たなミッションの受諾を迫られた。内容は、モリビトのせん滅。迷宮に棲まう人型の生物をモリビトと呼称した執政院は彼らを障害と認識し、排除する決定を下したという。君たちは動揺した。

 せん滅とは穏やかではない。確かに、君たちが出逢った少女は有無を言わさず襲い掛かってきた。しかし、言葉が通じる以上、対話は可能の筈だ。まずは話し合い、平和的な解決法を模索すべきではないか。…そう思う君たちだったが、石板を返してもらうためには、ミッションの受諾が必須だった。君たちは迷ったが、ひとまずその条件を呑むことにした。ミッションを達成するかどうかはまた別問題。そんな甘い考えを持ちながら。

B17F

 執政院に返してもらった石板を先のくぼみにはめ込むと、まばゆい光が君たちを包み込み、気付けば目の前に下へと続く階段がある場所に着いていた。階段を下り、枯れた草を分け進んでいると、君たちの前に一人の少女が現れた。モリビト――以前会った彼女は、きびしい顔で君たちを睨んできた。だが、敵意はあっても以前と違い話し合いの余地はあるように見えた。君たちは少女にいくつか問いかけることにした。 

 君たちの問いに、少女は淡々と答えた。モリビトとは樹海で生を受けた者であること。かつて、樹海の外にいた人間と激しく争い、多くの血が流れたこと。その争いの末、人は樹海の外で、モリビトは樹海の中で生きることになり、以来、人がこの樹海の奥に足を踏み入れることは禁じられるようになったこと…。君たちは愕然とした。少女の語ることが真実であるならば、君たちはその協定を破り彼らの生活を脅かす侵略者に他ならないことになる。呆然とする君たちを残し少女は去って行った。理解出来たら戻るがいい、ただし、これ以上進んだ時にはその命保証できぬと思え。そう言い残して。
 
 少女の言葉を受け、君たちは一度街に引き返すことにした。探索を続けるのであれば、モリビトとの戦いは避けられないだろう。彼らが命を賭して向かってくることは想像に難くなかった。また、こちらの命を狙ってくる以上手加減など出来よう筈もないことは、これまでの経験で君たちはわかっていた。峰打ちで済ませられるほど迷宮は甘くない。殺されない為には殺す必要があった。冒険を続けるのか、ここで止めるのか。君たちは今一度考え直すことにした。
 
 君たちは幾日も話し合い、悩み続けた。ただ冒険を楽しみたい。これが君たちの信念であり原動力だった。だが、その為に古くから森で暮らしている人々と戦わなければならないとは思っていなかった。それが人ではない、人と良く似た別の生物だとしても。自らの欲の為に、それでも進み続けるのか。君たちは悩んだ。
 
 探索を続けたいと最初に表明したのはレンリ、シトラ、アサギの3人だった。ここで自分たちが探索を止めたところで、いずれ誰かがその先を進むだろう。自分たちの代わりに他の誰かがモリビトをせん滅し、自分たちの代わりに世界樹の謎に到達するに違いない。ならばその役目と責は、これまで道を切り拓いてきた自分たちが負うべきものだ。それが3人の意見だった。
 
 ルゥは想像した。ここで冒険を止めた後の自分を。ギルドを解散し、ただの吟遊詩人に戻り、他の誰かが到達した世界樹の謎を人づてに聞き、その知らない誰かの冒険譚を歌う自分を。世界樹の謎に最も早く近づいた自分が、ヒトを傷つけたくないという罪の意識で冒険を止め、自分の代わりにその罪を被った他の誰かの偉業を高らかに褒め称えるのだ。――それは、それだけは我慢ならなかった。ルゥは3人の意見に同調し、覚悟を決めることにした。
 
 一方、トルテは最後まで答えを出せずにいた。君たちはトルテの出す答えを辛抱強く待った。着いてきてくれたら嬉しいと思ってはいたが、こればかりは強制は出来なかった。トルテはパーティの中で一番心優しかった。本来、荒事は苦手だった。魔物と戦う事すらあまり得意ではなかった。元々蝶よ花よと育てられた箱入りのお嬢様だ。エトリアに来たのも、怪しげな占い師の言う事を信じた両親に言われて家を追い出されてしまったに過ぎない。その両親も、娘が殆ど人殺しと言っても良いことに手を染めるとは考えもしなかっただろう。道半ばで故郷に帰っても、事情を話せばわかってくれるに違いなかった。
 
 ある日の夜。トルテは宿の屋根の上で一人膝を抱えて座っていた。これまでのこと、これからのことを考え続けていた。自分が答えを出すことを仲間が待っているのはわかっていた。進むにしろ、退くにしろ、早く答えを出さなければ、いつまでも仲間を引き留めることになる。はやくきめなきゃ、はやくきめなきゃ。そうは思うものの、決心はつかなかった。皆の意見はわかる。でも、モリビトと戦うことを想像すると、森で出会った少女に剣を突き立てる自分を想像すると、怖くてたまらなかった。トルテは顔を伏せ、嗚咽を漏らした。
 
 トルテが一人でそうやって泣いていると、気付けば隣にレンリの姿があった。レンリはあぐらをかいてトルテの顔をじっと見つめている。トルテは慌てて涙をぬぐうと、ごめんねと謝った。レンリは答えない。共通語を喋れない彼女は滅多に言葉を発することはない。だが不思議なことに君たちはレンリの言いたいことがわかったし、レンリも君たちの言葉を理解しているようだった。レンリは猫のように気ままで、気まぐれで、自由だった。君たちはそんなレンリのことが好きだった。
 
 泣いているところを見られたついでに、トルテはレンリに相談することにした。モリビトと戦いたくないこと、本当は戦うことも好きじゃないこと、相手を剣で傷付けるたびに自分も傷付くような気がすること。その他にも、今まで誰にも打ち明けていなかった不安や悩みも打ち明けた。それと、世界樹の謎を知りたいという気持ちがあることも。冒険は辛いことだけではなく、楽しいことがたくさんあったことも。トルテの独白は続いた。それはまるで懺悔のように続いた。レンリはただ黙ってトルテの話を聴いていた。
 
 ひとしきり話終わって隣を見ると、レンリは身体を丸めて穏やかな寝息を立てていた。トルテはくすりと笑ってレンリの髪を撫でた。きっとトルテを元気づける為に来たに違いないのに、どうやら先に眠ってしまったらしい。この優しくて気まぐれな子を失いたくないな、とトルテは思った。
 
 そう思って、はっとした。自分がここで冒険を止めても、他の4人は迷宮に挑むだろう。あの4人ならば、自分がいなくてもきっと迷宮を踏破するに違いない。でも、万が一があったら?万が一何かがあって、二度と迷宮から戻らなかったら?――その時は、自分は決して許さないだろう。仲間を害した者も、ギルドから抜けた自分自身のことも。
 
 トルテはレンリの寝顔を見て、改めて思った。皆を守りたい。エトリアに来て初めて出来たかけがえのない仲間たち。これを失うことは、何よりも耐えがたいことだった。トルテは決意を固めた。自分は守るために戦おう。その為に剣を血で染めようとも。トルテは空を見上げた。その瞳に既に涙は浮かんでいなかった。
 
 翌朝、トルテは君たちに冒険を続けることを告げた。君たちは仲間の判断を喜んで受け入れた。そして、何が起きても、何があろうとも、その罪や責任は誰か一人のものではない、五人全員で分かち、背負うものだと誓った。そして、先に進むからには、必ず世界樹の迷宮を踏破しようと、重ねて、固く誓い合うのだった。

B17F~B20F

 君たちは再び迷宮に入った。流砂の上を滑り、枯れた木々をかき分け、前へと進んだ。B18Fに到達すると、樹海の中とは思えぬ広大な空間が広がっていた。君たちがその光景に目を奪われていると、突然目の前に人影が現れた。レンとツスクルである。どうやら二人は君たちを待ち構えていたようだ。

 レンの言によれば、この階にはモリビトやモリビトを守る強力な魔物が住んでいるらしい。いよいよモリビトとの戦闘が始まることに君たちは顔を険しくした。戦わなくて良いならばそれに越したことはない。しかし、襲い掛かってくるのであれば容赦はしない。君たちは覚悟を決め、歩き始めた。
 
 広場を歩いていると、間もなくモリビトとの戦闘が始まった。両手に剣のようなものを持ったがっしりとした身体付きをした男が2体と、杖を持った女が2体。君たちはそれをモンスターの群れと認識した。 

 そうであるならば、戦闘方針は変わらない。レンリがアザーズステップでシトラを誘導し、シトラが大爆炎の術式を起動する。炎はモリビト達を包み込み、そのうちの一体が倒れ動かなくなった。残った3体は、トルテ、ルゥ、アサギの3人が一人ずつ剣を振り、一体ずつ仕留めていった。戦闘は一瞬で終わった。しかし、普段であれば戦闘が終わるとハイタッチで喜び合う君たちだったが、今回ばかりはその気になれなかった。

 君たちは進んだ。前へ、前へ。襲い掛かる相手がモリビトであろうと、精霊であろうと、何であろうと、目の前に降り懸かる火の粉を振り払うように、その度に撃退していった。――それは、ともすれば、君たちが迷宮に入らなければ平和に暮らしていた生き物たちだったのかもしれない。君たちから見れば過酷に見える環境の中で、穏やかに過ごしていたのかもしれない。”降り懸かる火の粉”とは、果たしてどちらを指す言葉だったのか。君たちはそのことに薄々気付きながらも、しかし、今更歩みを止めることはできなかった。
 
 B20Fに辿り着く。君たちの前に何度か遭遇した少女が再び姿を現した。少女は言った。モリビトの精鋭をすべて倒し、守護鳥に打ち勝つことが出来れば君たちの勝利であると。どうやらここが正念場であるらしい。君たちは周囲から多数のモリビトの気配を感じ取った。その数は十を優に超えていた。考えなしに歩けばあっという間に囲まれてしまうだろう。その為にはまず地形を把握する必要がある。君たちは地図を描きながら、焦らず、慎重に歩みを進めることにした。

B20F(袋叩き編)

 焦らず、慎重にとはなんだったのか。君たちはモリビトのうちの一体と交戦し、多数のモリビトに追いかけられていた。その数、およそ8。今までに経験したことの無いプレッシャーを感じ、君たちは逃げた。必死に逃げ続けた。 

 しかし、気付けば、あっけなく取り囲まれていた。もはや退路は無い。ここで力尽きれば死は免れない。激戦は必至であると君たちは確信し、モリビト達と対峙した。

 一体目はフォレストデモン。初めて見るタイプのモリビトだった。鳥のような羽根と鉤爪を持ち、トカゲのような尻尾を持っていた。顔のあたりは双葉のような形をしており、口が存在せず、二足歩行ではあるが、人とはかけ離れた異形だった。この見た目ならば戦いやすい、というのが君たちの所感であり本音だった。とはいえその強さは紛れもなく本物。フォレストデモンから放たれた炎の息吹が君たちを焼いた。ルゥの蛮族の行進曲と癒しの子守唄によって受けた火傷は回復するが、連続で喰らえば死に直結することは明らかだった。何より、敵は目の前の相手だけではない。多くのモリビト達が君たちを始末しようと集結しに来ていた。

 レンリのサジタリウスの矢がフォレストデモンの身体を射抜いた。凄まじい勢いで天空より飛来したそれは、フォレストデモンの意識を一時的に失わせた。レンリはその隙に二本の矢を放ち、アサギがとどめを刺した。安心するのもつかの間、冷酷な貴婦人が不思議な歌で君たちを惑わせた。混乱状態に陥ったレンリは、その矢をアサギに向けて放った。仲間の背後からの攻撃にアサギは小さく呻いた。だが今は目の前の敵を始末することが先決だった。アサギは冷酷な貴婦人に対してツバメがえしを繰り出した。続いてシトラの大爆炎の術式で冷酷な貴婦人は倒れた。そうこうしているうちにも敵は次から次へとやってきた。禍乱の姫君が2体、君たちの前に立ちふさがっていた。

 混乱したレンリは、今度はルゥを攻撃した。レンリの放つ矢は敵の攻撃よりも強力で、流石はレンリだなぁとルゥはこの状況に置きながらも呑気に考えていた。君たちは持てる最大火力で果敢に攻めたが、禍乱の姫君は2体とも健在だった。そして、レンリの混乱が解けた時、フォレストオウガが現れた。

 3体が相手では埒が明かない。トルテは中腰に構えると、その構えを維持したまま神経を集中させた。スキル、トラッピング。前衛が敵の攻撃を受けた時に発動する反撃スキルであり、単体攻撃しか出来ないダークハンターの、唯一全体攻撃になりうる技。だが、トルテは既に禍乱の姫君の歌によって呪いを受けていた。攻撃を受けたトルテはトラッピングを発動させ反撃を繰り出したが、その度にダメージはトルテ自身に返ってきた。トルテは2体のうち1体を仕留めることに成功したが、トルテ自身も呪いによって倒れてしまった。

 ルゥがトルテに駆け寄り、ネクタルを使用する。気付け薬を口にしたトルテは息を吹き返した。その間にシトラがフォレストオウガに対し毒の術式を起動する。成功。続けてアサギがツバメがえしを放ち、残っていた禍乱の姫君を撃破した。そして、倒すなり、新たな禍乱の姫君が現れた。きりがない、と君たちは思った。気付けば、手持ちの回復薬も残り少なくなっていた。ネクタルは先程トルテに使用したもので最後だったし、メディカとアムリタも残り1本ずつしかなかった。敵の数は着実に減らしているが、増援が止む気配はなかった。

 ――ピンチの時こそ、冷静に。ルゥは深呼吸すると、現状を再確認した。目の前の敵は禍乱の姫君とフォレストオウガ。禍乱の姫君は呪いの歌声を持つが、攻撃力はさほどでもない。フォレストオウガは攻撃力が高く、体も頑丈だが、全体攻撃はしてこない。増援の気配は2体。つまり、目の前の敵も含めて4体。増援の敵の種類は不明。ネクタルが無い今、味方一人でも誰かが倒れることは避けたい。つまり、いのちだいじに。方針が決まったルゥは、残っていたメディカとアムリタを全てシトラに使うことに決めた。
 
 残っていた2体の敵の増援は、いずれもフォレストオウガだった。幸運だった。フォレストオウガの身体は固く、物理攻撃に対して耐性があるようだったが、攻撃は単純だった。長期戦であれば君たちが得意とするところ。回復薬が無くとも、体力と気力はルゥの歌でたちどころに回復した。君たちは地道に相手の体力を削り、…やがて、目の前に立つ者はいなくなった。

B20F(ぐだぐだ編)

 死闘を制した君たちは一度街へ帰還し、回復薬を補給した。そして再びB20Fへと戻り、残っていたモリビト達と戦闘を繰り広げた。今度こそは一体ずつ撃破していこうと思っていた君たちだったが、気付けば再び取り囲まれていた。そんな折、大気を振るわせる方向とともに、黒い影が目の前のモリビト達を襲った。イワオロペネレプ。少女が言っていた守護鳥とはこれのことだろうか。守護鳥と言う割にはモリビト達を一瞬でミンチにしてしまったが。君たちは訝しんだ。

 ともあれ、目の前の巨大な鳥はモリビトだけでなく君たちにも襲い掛かってきた。イワオロペネレプは相手を石にしてしまう鉤爪を持つ脅威だったが、これまで多くの経験を積んできた君たちの敵ではなかった。君たちはイワオロペネレプを撃破した。これでもうモリビトと戦う事はないだろう、そう思いながら。しかし、戦闘を終えた君たちはフロアの中央に強敵の気配を感じた。ひょっとして、イワオロペネレプは守護鳥とは別の鳥だったのだろうか…?いずれにせよ、モリビト達とイワオロペネレプとの連戦により体力と気力は削られ、回復薬も少なくなった君たちは再び街へ帰還することにしたのだった。
 
 宿屋で回復し、回復薬を仕入れ、再びB20Fに舞い戻る。倒した筈のモリビト達が何体か復活している気配を感じた。君たちは第三階層にいたクイーンアントのことを思いだした。あの時も、親玉であるクイーンアントを倒さない限り、配下の蟻は際限なく湧いてきた。つまり、今回もまず親玉を倒さないといけないのでは?そう思った君たちはフロアの中央にいた強敵に戦いを挑むことにした。イワオロペネレプだった。昨日倒した筈の。
 
 君たちは戸惑った。あの鳥は確実に仕留めた筈だった。それがなぜ、また復活しているのか。わからなかった。わからなかったが、やるしかなかった。君たちはイワオロペネレプと死闘を繰り広げた。レンリのサジタリウスの矢で穿ち、その巨体は崩れ落ちた。アサギとトルテは石になったが、勝利は勝利だ。君たちはその場を後にした。―――すると、背後から強大な敵の気配を感じた。君たちは振り返った。今しがた倒したばかりのイワオロペネレプが、何事も無かったかのようにそこに鎮座しているのだった。 

 何故、生きている…?わからなかった。わからなかったが、君たちは再びイワオロペネレプに躍りかかった。もちろん、石になったアサギとトルテを回復させてから。ひょっとして矢で倒したのがいけなかったのだろうか?別の倒し方をすればいいのだろうか?君たちはそうして、何度も何度もイワオロペネレプと戦っては、石になり、回復して、を繰り返した。矢で、刀で、炎で、毒で―――君たちは出来得る限りの方法でイワオロペネレプを撃破した。そうこうしているうちに回復薬が再び底を尽きた。君たちはまた街へ帰還し、補給することにした。
 
 B20Fに辿り着くこと、三度。モリビト達の気配は、最初にB20Fに到達した時と同じくらいに増えていた。フロアの中央には、当然のようにイワオロペネレプが鎮座していた。

事ここにいたって、君たちは少女から言われたことを思いだした。

『モリビトの精鋭をすべて倒し守護鳥に打ち勝つことができれば貴様らの勝ちだ』。

つまり、恐らくはモリビトの精鋭がいる限り守護鳥は何度でも復活し、モリビト達も守護鳥程の早さはなくともまた復活するのだろう。そのことにようやく気付いた君たちは、もう一度モリビト達を撃破し、その後にイワオロペネレプと戦うことにした。とどめの一撃を喰らったイワオロペネレプが起き上がることはもう無かった。黄金の守護鳥は弱々しくしく光を打ち消しながら、大地に崩れ落ちた。君たちはようやく終わったことに安堵し、人の話はちゃんと聞くようにしよう、と反省するのだった。

→(第六階層①へと続く)


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