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光る君へ「お前が男だったら」の昇華

今期の大河ドラマ「光る君へ」を見ている。
風情と感性と教養の不足により源氏物語には詳しくないのだが、紫式部については以前より非常に考えるところがあった。
紫式部が父親から「男であればよかったのに」と言われていた点だ。

というのも、私自身が父から「お前が男だったらなぁ」と言われて育ったのだ。回数は数えきれないくらい頻回だった。
この言葉は非常に危険で、いま娘や孫に言ってしまっている人がいたら今すぐ止めることをお勧めしたい。
私個人に対する父の誉め言葉なのは一応理解していたし、いまもそう理解している。
ただ、まず誉め言葉である以上、これは、分かりやすい男女差別の言葉である。
しかしことはそれだけではない。褒めようがけなそうが私が女であることは厳然とした事実なのである。しかし「男であればなぁ」は私が女であることを嘆いている。つまりこれは私に対する存在否定の言葉なのである

男であればなぁという父親からの言葉に、初期は何も返さないまひろ(紫式部)が、何話かから「おなごでも役に立つことはできます」と返すようになる。そしてお父さんはそれにうれしそうにうなずくのだ。

私にはまだこの返答が持つすべての意図をイメージできていない(自分が父にそう返すイメージが持てないため)が、上手く消化・昇華されているような気がした。時代を感じてとても良い。(平安ではなく、令和の)

恋愛は悉くうまくいかない進行だが、こんなところがなんとなく救いになる気がして視聴している。ドラマ、良いものですね。

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