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【創業ストーリーvol.1】創業100周年の会社経営者だった祖父の生き方

私の祖父は、白衣や制服を作っている中小企業の経営者でした。
小さい頃はそんなこともあまり知らずに、笑った顔がチャーミングな陽気なじーちゃんだと思っていました。

上下とも総入れ歯だったので、祖父が笑うと入れ歯が外れて、よく笑わせてくれましたww
タバコもお酒もやめる気もなく、一緒に行ったカラオケでは、ビー玉の唄?を気持ちよく歌ってくれたのを覚えています。


生きるための仕事

私が社会人として経営者と仕事をするようになってから、経営者としての祖父に興味を持つようになりました。


私:「おじいちゃんは、何のために経営してきたの?

祖父:「うーん…生きるためかな。何のためにとか目的を考える暇もないくらい、とにかく生きるために必死で、気づいたらここまで来ていたな〜…」


もちろん、祖父の会社にも理念や経営方針がありますが、
戦後の走り出したばかりの頃は、とにかく生きるため…という何とも次元が違いました。

当時は、布自体が貴重だったため、布を一定のサイズに切ったものをガーゼのような意味合いで、販売していたのが始まりだと言っていました。
そこから白衣専門店として、自転車で一山二山を超えて、診療所や医師会へ営業していたと。

店舗前で立っている20代の祖父の姿(モノクロ写真)は、キリッとしてて、ものすごくかっこよくて、店舗が大きくなり、エリアも広げて出店し、スタッフの人数も増えていき…

会社の歴史と組織の成長を感じました。
現在は、従兄弟が代表取締役としてECサイトやSNSも進めています。

私がコンサル時代のクライアント先で仕事をしていた頃、祖父の会社との取引があり、請求書を見つけた時は、嬉しかったのを覚えています。


祖父の幸せ

ある日、祖父がタバコを吸いながら、つぶやいていました。


祖父:「会社を経営することも、もちろん仕事をすることもいいけれど、こうやって子供や孫たちに囲まれて過ごす今が一番幸せだな〜。」


すごい幸せそうな笑顔で、そう話す祖父の姿に「じーん…」としたのを今でも覚えています。

私も起業家として、仕事を通じてミッションを達成することは幸せだと感じますが、きっと私の根底の幸せは、祖父と同じだと思います。


祖父の死

80歳近くになって、祖父は通院するようになりました。
そして、祖父の会社は創業100周年を迎えました。創業100周年記念イベントもしっかりと実現した後、祖父はこの世を去りました…。

亡くなる前の半年くらいは、整えたり、引き継いだり、祖母のために家を綺麗にしたり…、いろいろなことが問題なく進められるよう、困ることがないように動いていたんだと思います。

社葬では、会場にも入らず、モニター付きの別室にも入りきらないくらいの本当にたくさんの方々がお別れに来ていただいていました。
そして皆さま、祖父にお世話になったんだ…と感謝の気持ちを仰っていかれました。
いつもは、とってもスマートな次期社長だった叔父も涙ぐんでいたことを覚えています。


祖父の死をみたとき、祖父の生き方をみたような感じがしました。


私の生き様

亡くなって数年経ってから、祖母が祖父のものを片付けていた時、私は祖父の名刺入れを見つけました。


私:「ねえ、おばあちゃん!おじいちゃんの使ってた名刺入れ、もらってもいい?」


それから10年以上経つ現在も、私は祖父の名刺入れを使っています。

私の生き様もきっと死ぬ時にわかるのかな…

私も祖父と同じ経営者として、走り出したばかりだけど、
経営者として、そして私のおじいちゃんとして、祖父はいつも見守ってくれている気がします。ありがとう。