菊池 夏野

新国立劇場5期修了生。俳優

菊池 夏野

新国立劇場5期修了生。俳優

最近の記事

トンベリアリ

暖かくなってくると部屋に蟻が入ってくる。 蟻には申し訳ないけれど、 見つける度にティッシュで摘んで成仏してもらっている。 1匹やっても、次から次へと蟻たちは姿を現す。 わたしもやっきになって全ての蟻をティッシュでつまむ。 やりたくない、やりたくないけど仕方がない。 もう何百匹の蟻がわたしの部屋で天に召されたことかわからない。 そんなある日、小さな蟻たちに混ざって、 大きな蟻が部屋に入ってきた。 漂うボス感。 これあれだ、トンベリ100匹倒したら、キングトンベリ出てくるや

    • 霊感ってなんだ?

      ヒーラーやってます。 と人に言えるようになってからよく言われること。 お化けみえる? オーラみえる? なんですけど、 わたしも霊感がある人=みえる人って思ってたんですが、 基本、全く見えません。聞こえません。 (一度お盆の早朝、仕事に出かけた時、足とか手がない杖をついたり包帯巻いた軍人さんがゾロゾロ歩いてるのは見えたことがあります。見えてないんだけど見えてる不思議な感覚) ただ、わたしの場合、肌感覚と匂いで感じることがあるのですが、 あ、これが霊感なのか、と最近気づきま

      • DEAR ENGLANDを観た話

        ナショナルシアターライブでDEAR ENGLANDを観て来ました。 サッカーの話かー興味ないかなー と思っていたのですが、 周りの人たちのSNSの評判見てると、 どうやら面白いらしいぞ! と思い駆け込みで観てきました。 死ぬほど面白かった 嗚咽するほど泣いたあらすじはこちら↓ 世界にサッカーを広めたイングランドは、その後、手痛い敗戦パターンを繰り返している。なぜイングランド代表は自分たちの試合で勝てないのか? 世界最低のペナルティ記録を持つガレス・サウスゲートは、チーム

        • わたしの王冠

          昔々、あるところに心の優しい王様がいました。 王様にはとても美しいお妃様がいましたが、病気で亡くなってしまいました。 お妃様との間に授かった美しいお姫様も、後を追うように亡くなってしまいました。 深い悲しみにくれる王様を、長い間王様に仕えていた侍女がそれはそれは熱心にお世話をし、励ましてくれたので、王様は少しずつ元気になっていきました。王様はいたく侍女に感謝をし、ほしいものがあったらなんでも言うようにと伝えると、侍女は「わたしをお妃様にしてください」と言いました。 「それは

        トンベリアリ

          演劇教育フォーラムへ行ってきたお話

          演劇教育フォーラムへ。 「親の顔が見たい」でお世話になったまんぼさんとたけちゃんが会場にいるというのと、 会場が小平で、以前住んでいたエリアだったということと、 先日、アゴラ劇場に立たせてもらって、 平田オリザさんに勝手な親近感を抱いていたからという理由。 もちろん演劇教育ということに興味がないわけではなかったけれど、 演劇的な手法を軸に地域の子どもたちや様々な国にルーツを持つ人たちとの交流やその変化について、 スライドでの写真や動画を観ているうちに胸がいっぱいになってしま

          演劇教育フォーラムへ行ってきたお話

          続・長い正月のお話

          「長い正月」が終わって10日以上経つ。 櫻井さんもポストしてたけど、 長い正月メンバーはみんななんとなく年を越し損ねてしまった、、、という感覚で、 未だに2023年と2024年の狭間でうろうろしているのではなかろうか。 まだ、終われてない感覚なのは、 配信があるからで、 購入期限が1/21(日)まで。 つまり、今日の22時までだからっていうのもあるのかもしれない。 配信を観た両親はいたく喜んでくれた。 ま、家族で地獄の正月体験したことあるし、色々と思うことがあったんだと思

          続・長い正月のお話

          長い正月を終えて

          20歳の国「長い正月」無事千秋楽を迎えることができました。 最初にみんなで本読みしたときに、 わーこれ面白くなりそうだねーなんて話をみんなでワクワクしながらしてたので、 面白くなる! という確信はありつつも、 まさか連日満員、当日券で列ができるなんてことは想像していませんでした。 竜史とは「閃光ばなし」で出会って、 プレ稽古の初日にたくさん話しかけてくれて、 たくさんわたしの話にも耳を傾けてくれて、 公演中、プライベートですごく悲しいことがあった時も、 言葉にはしなかった

          長い正月を終えて

          怒りのもとは

          とても才能のある素晴らしい俳優さんが、舞台のアフタートークで女性蔑視発言をしたらしいという情報がSNSを通して目に入ってきた。 その内容は、演劇を観たことのない人にも演劇を観てもらいましょう!ということを伝えるために「処女」という言葉を使ったそうなのだが、その発言を受けて不愉快になった人たちが数多くいたらしく、 主催側はすぐに謝罪文を発表していたし、俳優さん自身も謝罪文を発表していた。 わたしもその発言を目にして、ぐらりと心が揺さぶられるのを感じた。 でも、何に対してだ

          怒りのもとは

          H2が読みたくて

          稽古休み。 1日ゴロゴロしときたいところだけれど、 どーーしてもあだち充のH2が読みたくて、読みたくて。 電子漫画に既に課金してるんだけど、 なんせ34巻あるもんで、購入してしまうと生活に支障が出るレベル。 舞台の稽古はどうしたってストレスが溜まる。 どれだけ恵まれた環境で、どれだけ素敵な人たちが集まってて、満足できる創作活動だったとしても、人前で自分をさらすという行為そのものが身体にとってはとてつもないストレスなのだ。 だから、甘いものを食べたくなったり、衝動買いしたり

          H2が読みたくて

          「思考」を読み解く②

          前回の記事で思考と行動は密接に関係しているということを説明してきました。 「思考」を読み解く|菊池 夏野|note ここでは、具体的にどう関係しているかについて見ていきます。 行動についてはこちらを参考に。 わたしの演技術②(行動を読み解く)|菊池 夏野|note エリック・バーンによって提唱されたコミュニケーション理論 人生脚本を提唱したエリックバーンは 「ストローク理論」というコミュニケーション理論も提唱しています。 ストロークとは相手の存在や価値を認める言葉や働

          「思考」を読み解く②

          「思考」を読み解く

          演劇研修所時代、役の思考を歩くエクササイズや、 この役はどういう思考をしているのかなど問われることが多かったにも関わらず、わたしとしては思考ってなんだ?とぼんやりしたままだったので、 思考について考えてみました。 思考とは 戯曲には登場人物たちの発する「言葉」で構成されています。 この言葉は、 思考、マインド、思い込み、偏見、価値観、考えていること、信じていること、どんな風に世界を見たり、捉えたりしているか、 これらが言葉となって発せられていると考えます。 つまり、言葉

          「思考」を読み解く

          「性格」を読み解く

          人が他人の性格、もしくは戯曲に出てくる登場人物の性格を「おおらか」とか「せっかち」と認識するとき、 それは何をもってそう感じているのでしょうか。 先日、出演した舞台で、もっとおおらかに、と何度もチェックがあり、 自分がもともとせっかちで激しめな性格をしているのでなかなか苦労しました。 思考が言葉になり、言葉が行動になり、それが習慣となり、性格となるのであれば、セリフから登場人物の行動や性格を「なんとなく」ではなく、 推理したり議論したりしながら読み解けるのではないか。

          「性格」を読み解く

          わたしが読んだ戯曲100選

          もうすぐ受験シーズン。 わたしの母校の新国立劇場も、 もうすぐ入所試験だそうで。  14年前(たぶん)自分が受験生だったころ、 モノローグを1分用意してくださいって記載に、「?」となったのはいい思い出です。 新国立劇場演劇研修所を受験する人はもちろん、演劇始めたいけど何をしたらいいかわからないという人も何かの参考になったらいいなと思って自分が今まで読んできた戯曲を100選、というか思いついたもの100本上げてみました。 観たことはあるからお話は知ってるけど、 戯曲として

          わたしが読んだ戯曲100選

          ガラスの仮面から考える演技術

          漫画ガラスの仮面の中にこんな場面を見つけてしまいました。 「知ってる?河本先輩恋人がいるんですよ」というセリフを、 「面白そうに」「がっかりしたように」「怒ったように」「いじわるく」言ってみて、 という課題を見事に演じ分けるマヤ。 ガラスの仮面という漫画を読んで女優になったと言っても過言ではないくらい影響を受けているからこそ、 気をつけないといけないな、と思うのですが、 「怒る」「面白がる」「がっかりする」「意地悪く」など、 これらはぜーんぶ状態を指した言葉。 これら

          ガラスの仮面から考える演技術

          免罪符

          あるところに素晴らしい作品を次々と作り出す、偉大な芸術家がいました。 彼の生み出す物は人々の心を掴み、 多くの人たちが彼の作品に夢中になりました。 初めのうちは謙虚だった彼も、 周りの人たちにチヤホヤされるうちにだんだんと傲慢になっていきました。 自分は偉大なのだから偉大な人としか話をしない、と作品を好きいてくれる民衆を冷たくあしらうようになりました。 自分は偉大なのだから、お金をもらって当然とたくさんのお金を要求するようになりました。 自分は偉大なのだから、女性た

          許された男

          あるところに物や人を捨てられなくて困っている男がいました。 物を捨てられない彼の家はゴミ屋敷のようになっていました。 暇を持て余す女の人たちは そんな捨てられない男の世話をすることで、 暇を潰すことができたのでせっせと男のお世話をしました。 男が捨てられないゴミを整理し、身の回りの世話をするという生きがいを見つけた女たちは、どんどん活き活きとしていきました。 男は女たちがなんでもやってくれるので、 一人では何もできないようになっていきました。 男はだんだんと息苦しさを

          許された男