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店を出すとは、自分の舌を信じること

例えば、辛い物が好きだとするじゃないですか。

激辛料理の店とかをいろいろ行ってみても、どうも自分の求める辛さじゃない。ただ辛いだけでうまくないのもある。違う、辛いってのはもっとこう、旨いんだよ、と思うわけです。

自分で自分が旨い劇辛料理を作るだけでなく、やっぱり自分と同じような人はいるんじゃないか、辛い物が食べたくてなかなかないなと思ってる人。いや辛い物は苦手と言ってる人にも、辛いってのは旨いんだよ、と知ってほしいじゃないですか。

だったら自分で作るしかないじゃないですか。

そこで作るわけですよ。旨い激辛料理の店


で、こういうお店を作ると必ずこう言う客がいるんです。

辛すぎて食えない」「こんなの食い物じゃない」「これを食うやつは頭がおかしい(※誉め言葉の場合もあります)」「甘いものが好き」

この意見、聞くべきでしょうか?


僕は「じゃあよそに行け。ここはお前のための店じゃない。」と平気で思えるタイプだったので早くにデビューしたんだと思います。漫画の話ですね。だいたいそうです。

基本的にみんなに好かれる味にしろという連中の意見を取り入れたら誰でも食べられるファミレスかコンビニ弁当の味になります。そんな店行くか?そもそも存在価値あるか?だったらファミレスかコンビニ弁当でいいじゃん。

ただ雑誌が目指してる方向が最初からファミレスかコンビニの1メニュー、1弁当として発注してる場合というのもあります。そのへん何を求められてるかの嗅覚と、あとはどうだまくらかすか、および共犯関係(担当編集と)が築けてるかなど、いろんな状況や方法はあります。

基本的にこの感覚が分かってない人の意見は聞くだけムダなのです。ただ残念ながらクリエイター軽視の現場でお金の流れや裁量権を持ってる人はえてしてこういうもので、その交渉力(だまくらかす技術)は編集者に委ねるしかない場合も多く、その説得材料を提供したりはします。


ただ「本当においしいからもっと食べたいけどちょっと辛すぎて…」という意見にはああ、もう少し段階を踏んで舌を育てるコースにしようかなとか、辛さを引き立てるために甘いものを混ぜるとか、お客さんになってくれそうな人を広げる工夫自体はありだと思います。

もちろん自分が最高においしいと思えるものを作ってるのが最低条件ですが。

結局信じられるのは他人の味覚より自分の舌しかないんです。それがあまりに客が入らなかったり自信がなくなるとやっぱり辛みを抑えたりしてしまうかもしれません。それで便利屋的にメニューをこなす技術もあります。でも基本的に、その店の味というのがなくなると店はつぶれると思います。

わりと今店を出すための開店ハードルが下がって自分の食卓のつもりで作った料理をネットに挙げると買い手がついてお店になってしまう事例などもあるのですが、とりあえず最低限自分がおいしいとおもいながらつくったものを食べてもらいたいし、そこでおいしいと思ってもらえれば幸いです。

ちょっといくつかの近況と感想をぼんやり走り書きにしてみました。



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