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光のはなし

今、生きる感覚がしっくりきている。女子高生時代、陸上に命をかけていた私を超える熱と光を持っている。それはもう、楽しくて楽しくて悔しいことばかり。青春と呼べる出来事は走ることが全てだった。走る事が好きで、跳ぶことは気持ち良い。中学まで長らく中距離を専門にしていた私は走り幅跳びに転向した。本能レベルで刻まれた助走のリズムは14歩。徐々に加速し最後の3歩で空へ舞う。瞬く間にふと身体が浮く感覚が忘れられない。これは多分、光。

己の感覚で気持ちの良い瞬間を越えていく陸上が好きだった。400mは部員の仲間が「ラストガンバー!」と叫んでくれる第3コーナーで余裕な顔して走ったとき。四継リレーのバトンをバシっと受け取ったとき。その瞬間はどれも一部に過ぎなく、泥臭い練習も、すぐに怒鳴り散らかす顧問、やたら厳しい恋愛禁止ルール、学祭や学校行事に出られない事だって平気だった。顧問は「謙虚な心と感謝の気持ちを持ち泥臭い努力をしなさい。」と言った。この言葉は私のアスリート魂のそれだ。

とは言えインターハイに出場したのも一度きり、私は普通。怪我を繰り返して最後の大会も呆気なく終わった。母親が亡くなったのもその頃だった。あれから何年経ったのか。最近、父親が母親の命日は京都「葵祭」の開催日なんだと教えてくれた。腑に落ちる命日だな?これもきっと、私にとっての光。


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