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心の洗濯、大事。

土曜日の仕事終わり、夜行バスに飛び乗って弾丸ひとり旅へ。なんだか異常にメンタルがやばかったから、心の洗濯をしようかと思って。

新宿から夜行バスで10時間。目を瞑りながら自分の20数年の人生を振り返ってみたら3回くらい泣いた。夜行バスで泣いてる女、絵面がやばすぎる。可哀想なことに私は自分のことを上手く慰められないようで、傷ついたことも悲しかったことも「まぁ余裕でしょ」というスタンスで乗り切っていたことが、本当は全部辛くて苦しくて全然余裕じゃなかったんだと思い知らされた。自分のネガティブな側面をしっかりと受け止めてこなかった自分が悪い。
でも振り返って気づいたのは反省点だけじゃなかった。好きなことを仕事にして、やりたいこともブレてなくて、今もそれを達成するために頑張ってる自分はやっぱり偉いし素晴らしいと思う。うん、きっとそうだよね。
なんて考えてたら走り始めてから4時間も経ってた。寝ろ。

目的地に到着し、まずは地元の銭湯へ一直線。常連のおばあちゃん達だらけの更衣室で「ユウコさんはいたか?」「まだ来てないみたいね」「今日は人が少ないねぇ」なんて会話をBGMにしながら汗ベトベトの服を脱ぐ。浴室でもおばあちゃん達の方言混じりの会話は止まらない。その会話をラジオ代わりにぼんやりと聞きながら、うとうと温泉に浸かった。誰かの日常にすっと溶け込むモブキャラになったみたい。お湯と一緒に溶けてしまいたいほど、すごく居心地がよかった。

午後は一時間ほどバスに揺られて別の目的地へ。
同じ停留所から乗った小さな男の子とそのお母さん。男の子はじっと黙っていられる性分じゃないのか、2分に1回は奇声をあげた。窓から見えたもの(タクシーやスーパーやケーキ屋さんとか)を呼びあげ、たまに自作らしい謎の歌も大声で歌いだす。若いお母さん、最初は「静かにして」と注意するも、そのうち諦めてしまった。
もしこれが東京だったら、心に余裕がない私はクソほどイライラしてたかもしれない。「母親なんだから注意しろようるせぇな」と思ってしまったかもしれない。

でも、私はバスの中でうたた寝した。その男の子のわけわかんない奇声を聞きながらうつらうつら。お母さんだって、一時間ずっと注意してたら気が滅入っちゃうよね。息子とはいえ、子どもとずっと一緒にいるのは辛くないのかな。お母さんもお疲れ様やで。
男の子が耳をつんざくような高音を上げても、今このバスには親子と私と運転手しかいない。いいぜ、存分にやれチビッ子。お前がエースだ。

本格的に眠ってから約50分後、バスが最終停留所に到着した。その親子もどうやら同じ目的地だったらしく、私の前で降りる順番を待っている。(いつの間にかそこそこ乗客がいたのでビックリ)
男の子が降りる時、バスの運転手さんが「長い時間よくがんばったねぇ、えらいなぁ。バイバイ」と声を掛けた。男の子はさっきまでのびのび歌っていたとは思えないほど小さな声で「ウン」と返事をし、お母さんの手にぎゅうっと抱きついた。照れてるんだろうか。

その時ようやく、子どもの頃、ただ座ってるだけの時間がどんだけ退屈だったかを思い出した。スマホも持ってないから時間も潰せない。お母さんも疲れてるから話しかけても空返事。本もおもちゃも無い状態の一時間。子どもにとってどんだけ退屈だっただろう。「うるさい」と思ってしまう自分がやっぱり異常だったんだな、と反省した。子どもなんて誰にでも迷惑をかける年頃なのに、私はなんて大人気ないんだろうか。

そんなセンチメンタルに浸りながら、街の商店街をぶらぶら散歩し、重要指定文化財を見学して、自分用のお土産探しへ。

塩田づくりで富豪になった人の家
江戸〜昭和で使われていた生活用品①
国歌にも出てくるあの「さざれ石」よく見ると歪かも。
生活用品② なんだかレトロで可愛い
塩の蔵だったかな?白と黒のコントラストがいい
もう使ってない旧駅舎。ちょっと寂しい雰囲気……
昔の石削り職人凄すぎる(石削り職人?)
どこに展示があるんだろうって思ったら……
真上だった!!!!!!!!

派手な観光は無かったけれど、空気がゆったりしてて、なんだかタイムスリップした気分。とっても穏やかな気持ちで新幹線が停まる駅へ移動した。滞在時間わずか2時間だったけど、予想以上に色々見れて楽しかった。

ゆらゆらガタゴト、ローカル線に揺られて30分。
週末で大混雑の主要駅に着いた。ひとが多くてちょっと気持ち悪い。でもお腹は空いてる。駅弁だと高くつくと思って、地元のスーパーで節約を狙ったが、合計金額が3000円もかかった挙句、店員さんに箸3膳も付けられた。弁当3つ、惣菜4つ、酒3本、お菓子たくさん。「違うんです、全部一人で食べるんですコレ!」なんて恥ずかしくて言えなかった。

写真じゃあんまり伝わらないけどはち切れそう

パンパンになったビニール袋をガサガサ抱えて新幹線に乗り込むと、すでに宴会を始めてるグループがちらほらいた。私もソロで参加させてもらおうじゃないか、と心の中で腕まくりをする。
ウキウキした気持ちを一瞬押さえ、後ろの席にいたサラリーマンに「背もたれ倒してもいいですか?」と話し掛けた。するとそのサラリーマン、すっごい爽やかな笑顔で「もちろんです!」と返事してくれた。返事ひとつでこんなに気分良くなれるんだ!って感動して、こっちもニチャァと効果音がつきそうな笑顔で「ありがとうございます!」と返す。あなただってきっと休日出勤で疲れてるだろうに、優しく返してくれてありがとう。

もしゃもしゃ食べてる途中、車体が揺れて箸を落とした。でも大丈夫、箸は残り2膳あるからね。「オッケー今日のすもはいいぜ」と心の中の三井寿が呟いてくれた。ほんまにそう。

10時間も満たない滞在時間とは思えないこの充実感はきっと私ひとりじゃ味わえなかったはず。缶ビールをごくごく飲みながら、明日からも頑張ろうと喝を入れた。

心のお洗濯、じゃぶじゃぶ完了。


って言ってもいつまでこの綺麗さが保たれるかわかんないけどねー!!ガハハハハハハハハハハ
まぁまた来ればいいや


すもやま

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