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#オッペンハイマー 登場人物が多すぎて良くわからないという批判があるが、重要なのは、誰がどんな証言をしたかではなく…

映画の冒頭から量子力学者が頭の中で描く原子と中性子のイメージをフラッシュで見せられる。

そのイメージが三位一体装置たる原爆実験シーンで巨大な爆破エネルギーとして視覚化されて、観客を襲う。

無音の閃光に遅れて爆音が鳴り響く演出は、被爆を体験した広島と長崎の市民を襲った恐怖の一瞬を劇場に再現したと言える。

オッペンハイマー氏は爆風を受けたその瞬間にすべてを悟り、原爆投下の是非に疑問を抱き始める。

ソ連のスパイ容疑をかけられて、原爆投下を非と考えることや水爆開発に反対する事を責め立てられるシーンで、登場人物が多すぎて良くわからないという批判があるが、重要なのは、誰がどんな証言をしたかではなく、色んな証言によって追いつめられる過程で、オッペンハイマー氏が原爆開発そのものの正当性に疑問を抱き始め、良心の呵責に苦悩し始める、その表情を見続ける事が観客にとっては重要なんだと思う。

オッペンハイマー氏の苦悩が観客に伝わって、観客自身の良心に響けば、原爆開発と投下の是非を観客自身も問い始めるし、その変化を促すところに、この映画の価値があると思う。

広島と長崎の被爆者写真が挿入される必要は全くなかった、と言いたい。

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