【二人のアルバム~逢瀬㉒~蟄居~】(フィクション>短編)
春の始めの薄ら寒さと夜露と朝露に冷たさを感じる朝、瑠衣の葬儀が静かにしめやかに執り行われた。
幸子が倒れてしまった夜、時機を見ていた様に、突然、誰が見送る暇もなく、瑠衣は一人、寂しく静かに散って逝った。
瑠衣を発見した後の幸子の悲しみは激しかったが、その分、涙が幸子を強くし、元の暮しに立ち直るのが、早かった。微笑などは無かったが、彼女の目から見ると、幸子を気遣い、自分の悲しみに時間を割けなかった彼の父の悲しみの方が、依然と深かった。
彼の父は、静寂の中にぽっかり空いた様