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私は就職ができない08_書類通過率の件

【前回までのあらすじ】
ギークリーのエージェントによって強引に求人に応募させられた私は、本当は就職などしたくないと思いながらも、流れに身を任せることによって、現実逃避しつつ放屁するなどしていた

ギークリーから採用面接の日程調整をお願いしたいというメールが3通届いていた。さらにいけないことに、リクナビエージェントからも同様のメールが1通届いていた。

ギークリー経由で40〜50件ほど求人にエントリーし、半分以上は瞬時に不採用の連絡を受けていた。私は胸をなで下ろした。就職先を探しているが、本当に就職先が決まってしまったら、私の自我は崩壊するだろう。フリーランス歴5年の世捨て人が会社員になったら……。考えるだけで悪寒がし、精神の平静が保てなくなる。

書類審査をパスしたのは計5件だ(1件はすでに面接を受け、すぐに辞退した)。通過率はざっと、5〜6%に違いない。40歳を超えているフリーランスくずれの書類通過率がどの程度かは分からない。ただエージェントは一般論として、書類通過率は平均7〜10%といっていた。私の場合は平均値より低いということだ。

ところで、ギークリーに関しては半ば強引に求人に応募させられたが、リクナビエージェントに関していえば自発的に応募した。おそらくマイページから20件ほどエントリーしたと思う。酒に酔った勢いでボタンを押下しただけなので、求人の精査などしていない。両社のエージェントが共通していっていたのが、「とりあえず、やっちゃえ」ということだ。とりあえず応募して、その後は通過したあとに考えろということらしい。

求人を出している企業はなるべくたくさんの求職者を比較したいと考えている。そのためには求職者からの応募が必要になる。多くの求職者はサービスに登録後に放置するか、求人を精査しすぎて、エントリーしないという行動を取るだろう。仕事が忙しい、プライベードが忙しいなど理由がいろいろある。私のように、「本当は就職・転職したくない」という人間も一定数いるはずだ。

採用サービスを提供している事業者は、そうした行動できないろくでなしの求職者の尻を叩く。「とりあえず、エントリーしちゃえ」というリクナビエージェント的な叱咤激励もあれば、「じゃ、全部応募しちゃいますね」というギークリー的な強引なやり方もある。どちらがいいのかわからない。しかし、私はギークリーのやり方が良いのではと思い始めている。求職者は基本的に現実逃避の申し子だ。現実から目をそらしたいけれど、就職・転職もしたい。その結果、アリバイ作り的に転職サービスに登録する。それで満足。しかし、ギークリーは逃がさない。妙齢の男女のエージェントが求職者を補足し、求人に応募させる。応募するまで密室から出さないという手段をとらないとも限らない。

幸か不幸か数社の面接を受けることになった。今もフリーランスから正社員への復帰が正しい選択なのかはわからない。このままフリーランスとして細々と働き、衰退し、困窮し、死ぬ。というのも一興だろう。しかし、良い会社に就職できれば、一日中鼻くそをほじっていても日給を獲得できると聞いたことがある。後者であれば実質錬金術を習得したといっていい。ならば就職にかけてみるのも、面白い。

いずれにしてもいくつかの面接を受けた上で、方向性を決めるのでも良いだろう。幸か不幸か、現在は仕事がほぼない。2歳の息子の保育料を支払うのも難しい状況に陥りかねない。経済財政のことは妻に任せよう。

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