仕事が早く終わり、天気が良かったためウェリントンウォーターフロントへ。
私は海が大好きで、暇があればお気に入りの場所へ向かいます。
海に近いところに座り、ただぼんやり海を眺め、リラックス。
晴れの日は、海面に太陽が反射してキラキラするのが本当にきれいで、心が癒されます。

図書館で借りていた本を読み始めると、周りの人たちが次々と、海にカメラを向けている気がつきました。
その人たちが見ている方をじっと見ると、

何とイルカの群れが近づいてきたのです！！！

海面に上がってくる背びれと頭。
こんなところでイルカが見れるなんて！とびっくりしました。
何回も来ている場所でしたが、イルカを見たのは初めてでした。

しばらく眺めていると、その内の１匹が華麗に大きく飛び跳ねました。

野生のイルカの生ジャンプ！！！

大迫力でした。
その後、イルカたちは遠ざかっていきました。


見れて本当に運がよかったなあ～と思っていると、スタジオジブリ「猫の恩返し」の「風になる」の弾き語りが聞こえてきました。

アコースティックギターと、男性の声で控えめな歌声でした。
振り返ると後ろのベンチで、男の子が一人で演奏していました。

私は就職して少ししてアコースティックギターを買い、簡単なコードで弾ける曲を家で弾き語りしていました。
しかし人前で演奏する度胸はないので、すごいなあと思いました。
何曲か終わるのを待って、勇気を出して話しかけてみました。

「こんにちは、日本人ですか？」

今思うと、日本の方ですか？て言うべきだったなあと笑
男の子はここで日本人に会うと思ってなかったらしく、びっくりした様子でした。

「ジブリが好きなんですか？」
「海外でもジブリなら気付いてもらえるかなって思って」

少しお互いの話をしました。
私は、ワーホリで来てからここまでの経緯。
男の子は、高校２年生で１年間留学に来ていて、その週の日曜（なんと３日後！！）に帰国すること。誕生日が来たのをきっかけに、数日前から初めて人前で演奏を始めたこと。この場所は住んでる場所から、電車で1時間くらいかかること。

彼が私に話してくれた中で、特に印象に残った話があります。
通っていた学校で、同じく留学で来ていた日本人たちから無視をされていたそうです。
でもその人たちと話さなくていいように、海外の友達を作ったこと。

私も学生時代、似たような経験をしたので悲しさ、悔しさは容易に想像できます。
でも彼は会ったばかりの私に、飄々と話してくれました。

そして最後に、1年間どうでしたか、と聞きました。

「良いことも悪いことも両方あったけど、全部で見たら、すごく良かったです。本当に来てよかったと思います」

素敵な考え方の子だな、カッコいいな、と思いました。
最後にこんなリクエストをしました。

「一曲歌わせてもらえませんか？」

彼は「もちろん！ぜひ！」とiPadに入った楽譜を見せてくれました。

「BUMP OF CHICKENの天体観測は？」
「それはちょっと難しくて、たぶんこの中で１番弾くの難しい曲です」
「そうなんだ、私バンプがめっちゃ好きで、このリュックもグッズなんですよ」
「本当だ！BUMP OF CHICKENて書いてある」

私も彼もお姉ちゃんがバンプ好きで、という話で盛り上がりました。

「米津玄師のレモンは？」
「それなら大丈夫です！」

そして丸々一曲、歌わせてもらいました。
誰かの弾くギターに合わせて歌うという、初めての経験でした。
心の底から楽しくて、ワクワクして、音楽ってやっぱり最高だなあと実感しました。

彼の名前はとても珍しくて、私はずっと覚えていたいと思いました。

この瞬間、この場所でしか出会えなかった人。
まさしく一期一会。

そして音楽の素晴らしさを再認識できた日。

忘れたくない、心に残る時間でした。