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酩酊。

生まれて初めての二日酔いは高校三年生のときだった。
関西の田舎町の旧家には蔵があり、そこに祖父が進物で頂いた種々の酒類があった。
日本酒などは、一升瓶をワンカートン(6本入り)であり、一本だけ拝借して自室の押し入れに隠していた。

最初から一人酒であり、きっかけはたしか幽霊会員だった美術部の合宿で酒盛りして、実はいける口だどわかったから。(その時代の未成年飲酒はまったく緩かった。それはまた別の話しで語ります。)

たしか、味付け海苔、これも進物ものからピックアップして部屋に持ち込んだ。

なにがきっかけかわからないが、かなりの量を味付け海苔だけで飲み、深夜に自室の隣のトイレで吐いた。
朝から七転八倒の苦しみを味わい、初の二日酔いとなったのである。

今でも、あの高校三年生のときの二日酔いを上回る二日酔いはない。

酩酊、は「小さく死ぬこと」だと常日頃から思っていてあれは最初の「小さな死」だったな、と今でも思う。

小さく死ぬ、ことを繰り返して、なんとか今まで生き延びてきたから、今でも酩酊するのだ。

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