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5月の短歌から10首

大雨に高架をくぐる一瞬の静けさに似た君のくちびる

道端をくり抜いて翔ぶクロアゲハ 精一杯が影であること

人生をカメラ目線でゆく人だ初注文で濃いめと言える

想像を超えると謳う広告に想像力を限定される

セキレイが3飛び1落ちで滑る空間の線くぐっても空

ふと気づく焚き火の中で燃え残る枝が誰かの救いらしいと

悪人のいない地球の警察で青く大きい蛾を護る部署

希望とは絶望の中以外では活きない仕様 夕暮れのパフェ

初夏色のエンドロールもあるだろう川沿いのまま国道をゆく

羽根のない空を眺める生き物としての人間らしく笑った

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