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お城みたいなホテル、あれなんなの?


幼き頃、車で頻繁に通る場所からお城みたいな建物が見えた。派手なお城の外装なのに何故かひっそりとしている。「わぁ、お城だ!」みたいなことを言ったこともあったが、あまりにも親の反応が悪いのでそれからは触れないようにしていた。きっとあのお城には楽しいおもちゃやきらびやかな服がたくさんあるだろうな、なんて思っていた。

26歳になった僕は大阪の繁華街徒歩圏内に住んでいる。歩いているとお城みたいな建物が密集している地帯がある。あの頃憧れたお城がこんなにたくさんあるなんて!しかしこのお城、お城なのに大阪城みたいな観光地になっているわけではないようである。よくみるとどうやらホテルのようである。徒歩圏内に住んでいる僕には入る用事がないということが分かり少しがっかりした。入り口の看板を見るとどうやら数時間休憩するために使う人もいるらしい。暑い日とか歩き疲れたら「夏のせいなんで」って言いながら入ってみようかな。

何度かホテルの前を通過するうちにある法則に気付いた。腕を組んだカップルが出入りしているケースがあまりに多く、家族が入っていくところを見たことがない。あの外観、子ども連れて行ったら絶対喜ぶのに。自分に子どもができて家族旅行に行くなら絶対にこういうお城みたいなホテルに宿泊しようと心に決めながら、僕はホテルに入っていくカップルを見送っている。

その他、ぼくがホテルの外の看板から得た情報なのだが、女子会をすることもあるらしい。きっとアナ雪とかラプンツェルとかのヒットとともにこのお城みたいなホテルも繁盛しているのだろう。

ここまで情報を集めたのだが、なんでカップルばっかりなのかが全然分からない。何か特別なことをするホテルなのだろうか。2人で入るということなら、遊戯王かデュエル・マスターズかポケモンカードをやるための場所なのかなと思っていたが、だとしたら男2人のパターンがもっと多いと思う。お城でカードゲームやったらめちゃくちゃテンション上がると思うけどなぁ。同様の理由で将棋やチェス、ベイブレードも違う。ビーダマン?バトエン?野球盤?人生ゲーム?まあ、なんでもいいか。

何をする場所なのか全くもって不明ではあるが、入っていく若者カップルと出てくる中年カップルを見るのが好きである。幸せそうなのでカップルに微笑んでみたりするが、なぜか面倒くさそうな顔をされる。でも唯一、出てくる若い男の顔はあまり好きではない。何かを終えた顔をしていて隣の女の子はそんな態度を少し物足りなさそうにしている。若い男にとってあのお城は何かのゴールなのだろうか。あ、お城でゴールってことはあれ、クッパキャッスルか?女の子にとってはスタートのピーチ城だったりして。

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