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スポーツセーフティ

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ケガなく安全にスポーツを楽しむために、知っておくべき「スポーツセーフティ」のトピックをまとめました。
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心肺蘇生の手順

目の前で突然心停止した人がいた場合、私たちにできる最善のことは、①反応の確認、②119番通報、③呼吸の確認、④胸骨圧迫・人工呼吸、⑤AEDによる電気ショックです。(窒息で倒れた場合は窒息への対応。)​​ 万が一の際に人命を救う側がパニックにならないためには、こういった手順を知っておくことが大事です。今回はSunbearsのマスコットたちのイラストを使い、誰にでも分かりやすいように心肺蘇生法(CPR)の手順について解説していきます。 手順1:反応(意識)の確認​​ 意識の

心停止から大切な人を救うために(胸骨圧迫編)

ある日突然、目の前で大切な人が倒れたら、あなたは自信をもって救命処置を行えますか? 心停止の原因の約6割は心臓疾患によるもので、そのため動脈硬化の進んだ高齢者に多いことが指摘されています。しかし、心停止は若い世代や心臓病ではない人でも、誰にでも突然起こる可能性があります。 前回のAED(自動体外式除細動器)に続き、今回は救命率を上げるのに欠かせないもう一つの鍵、「胸骨圧迫(心臓マッサージ)」についてのお話です。 > AED編はこちら 救命の鍵 「脳へ酸素を送り続ける」

心停止から大切な人を救うために(AED編)

昨日まで普段通りに元気だった人が、突然、命を落とすことがあります。「突然死」と呼ばれるもので、世界保健機関(WHO)では「瞬間死あるいは発病後24時間以内の内因死*」と定義されています。(*事故や自殺などではなく、何らかの病気による死亡。) そして「突然死」の中で最も多いのが「心臓突然死」です。 日本AED財団のホームページによると、心臓突然死の年間死者数は約7万9000人。1日に約200人、7分に1人が心臓突然死で亡くなっています。 いつでも、誰にでも起こりうる心停止

EAP(緊急時対応計画)の作り方

ジョンズ・ホプキンス大学によると、米国では約3,000万人の子供と10代の若者が何らかの組織化されたスポーツに参加しており、毎年350万人以上の負傷者を出しています。スポーツ傷害による死亡はまれですが、スポーツ関連による主な死亡の原因は脳損傷だそうです(*¹)。 これらのスポーツ傷害の半分は、安全装備を適切に使用したり、競技環境を改善したり、ケガ防止のためのスポーツ規則に従うことで防げるものです。それでもスポーツにケガはつきもの。有事の際に備える準備、それがEAPです。

映画『コンカッション』から学ぶ脳のスポーツセーフティについて

皆さんは『コンカッション』(米2015年、ピーター・ランデズマン監督)という映画を観たことはありますか? コンカッションは日本語で「脳震盪」のこと。スポーツ関連の映画は結構ありますが、これは実話に基づく話で、スポーツセーフティの観点からお薦めです。 あらすじウィル・スミス演じるナイジェリア出身の病理医ベネット・オマル博士が、亡くなった元アメリカンフットボール選手のマイク・ウェブスターを検死。50歳なのにアルツハイマー型認知症のような症状がみられたことから、アメフトとの因果関