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ツール・ド・おきなわ2023

■ツール・ド・おきなわ2023
会場:沖縄県北部地域
コース:200km
出走者:吉岡直哉、桂慶浩、佐藤大志、白尾雄大、佐藤光

今シーズンのラストレース、「ツール・ド・おきなわ」が開催された。ここまでUCIポイントを獲得できていないサンブレイブにとっては重要なレース。作戦は1か月も前から決まっていたという。

当日はの天気は雨となり屋根の下でスタートを待つ選手たち


吉岡選手以外が逃げを作り、逃げが捕まったり、ジャンプしたりするような動きが出た場合は、吉岡選手が対応し後半で勝負。一方で、逃げ切った場合は、逃げに乗った選手が勝負するプランも持ち合わせたいた。

いずれにしても誰かが逃げに乗ることはマスト。サンブレイブ勢は、スタート後からアタック合戦に参加する。


 スタートから約10km、白尾雄大選手を含む5人の逃げができあがるも、あえなく吸収。さらにアタック合戦を繰り返した後、ハート・ザ・ジャスティン選手(Wielerploeg Groot Amsterdam)、ヴォーシュ・レナート選手(Saris Rouvy Sauerland Team)、フォン・チュンカイ選手(宇都宮ブリッツェン)、孫崎大樹選手(キナンレーシングチーム)が抜け出しに成功し、サンブレイブ勢が乗っていない逃げが出来上がってしまう。

「決まってしまった…」(白尾)。白尾選手含め、多くがそう確信したであろう逃げだったが、白尾選手は諦めていなかった。まずは、一人で追走。しかし、2分程たったところで届かないと判断し、集団に戻ることを選択する。だが、ここでTaipei City Teamのリー・ティン・ウェイ選手が飛び出す。利害関係が一致した2人は、強調し追走。155km地点で先頭にジョインすることに成功したのだ。

「逃げに乗る作戦はずっと前から決まっていたので、かなり意識していた。宿毛や大分のレースでは、アタックに上手く反応できず、集団前方に位置取りができなかった。反省もあり、絶対に逃げに乗るという気持ちだった。また、ツール・ド・おきなわの過去のレース動画をみていると、逃げが決まると集団がスローペースになり、終盤で絞られた選手による戦いになることが予想できた。そのような展開になるのであれば絶対逃げに乗りたい」。白尾選手はそのような思いを秘めていたのだ。

ちなみに、公式映像でリー・ティン・ウェイ選手とグータッチしていた様子が映し出されていたが、ローテーションで被った時、白尾選手がグッドサインをしようとしたところ、リー・ティン・ウェイ選手がグータッチし、絶妙なタイミングでのグータッチとなったそうだ。


鈴木真理監督も「何度も逃げにチャレンジし、すごくいい動きだった。脚を使ったことにより後半まで逃げるのは難しいと思ったが、孫崎選手と終盤まで残れたことは大きい」と話す。

まさに意地の逃げ。白尾選手が逃げることにより、吉岡選手をはじめとしたサンブレイブ勢は集団で脚を休めることができたのだ。

補給をと取る吉岡選手


レースは6人の逃げとメイン集団で淡々と推移。一時、約8分のタイム差がつく場面もあった。

残り40km台、先頭にも動きが出る。脚を使い切った選手がドロップし、先頭は白尾選手、孫崎選手、レナート選手の3人による逃げとなる。しかし、先頭の踏ん張りもここまで。メイン集団に吸収されてしまう。

一方、メイン集団でも動きがでる。残り27km、寺田吉騎選手(シマノレーシング)が飛び出し、前に追いつくことに成功。さらに、山本元喜選手(キナンレーシングチーム)がアタックし、残り24kmで寺田選手に追いつき先頭は2人となる。

だが、強力な2人が先行したことにより集団はさらに活性化。フランシスコ・マンセボ選手(マトリックスパワータグ)や山本大喜選手(JCL TEAM UKYO)、入部正太郎選手(シマノレーシング)が2人を追いかけ、結局、山本元喜選手、マンセボ選手、入部選手、山本大喜選手の有力な4人が先行。優勝者はこの4人から出ることが濃厚と思われた。

 しかし、後方は諦めていなかった。サンブレイブが中心となって、集団をけん引。残り10kmで4人に追いついたのだ。



吉岡選手はこの場面について「(佐藤)大志、(光)が中心になってけん引してくれ、他のチームも協力してくれた。全開で追いかけてもらったところ、ちょうど勝負どころとなる羽地ダムに入るタイミングで追いついた。大志が牽ききったところで、勝負を託され『絶対勝負してやる』と気合が入った」と振り返る。

その後、各チームの有力選手が続々とアタック。最終的に、風間翔眞選手(シマノレーシングチーム)と山本大喜選手が飛び出し、先行する。一時は風間選手が先行する場面もあったが、タイミングよく仕掛けた山本大喜選手が、フィニッシュラインを最初に通過した。

吉岡選手は、15秒遅れの8位でフィニッシュ。優勝はならなかったがUCIポイント獲得に成功した。

吉岡選手は「表彰台には乗りたかったし悔しい思いはある。ただ、僕自身、エースで走ってUCIポイントを獲れなかった年はなかったので、獲れてよかった。大怪我をしてから初めてのUCIポイントだったので、ホッとした部分もある」と振り返る。

さらに、チームについて「結果論ではあるが、チームとしては動けたレースになったと思う。白尾が逃げに入ってくれたおかげで、終盤に枚数を残せた。もし誰も逃げに乗れていなかったら、ラストの場面で助けがほしいときに、誰も力が残っていなかった可能性がある。全員が動いたおかげで、全員の負担が少なくなり、力を溜めた状態で勝負ができた。最後の最後でチームの動きができ嬉しかった」と語る。

また、白尾選手は来期に向けて、「最後はなんとかチームのための動きができて良かった。ただ、個人的には、今回でいえば山岳賞、JCLだったら入賞、UCIレースならポイントを獲得するなど、結果を残したかった。オフは、計画を立てて基礎から時間をかけて乗っていこうと思う。今シーズンとは違う感覚で臨めるように準備したい」と話す。

 シーズンはこれで終了。サンブレイブは2シーズン目に入る。退団選手もいるが、同じこのチームで走った大切な仲間。みんな元気にプロトンを走っていてほしい。

 ■リザルト
1 山本大喜(JCL TEAM UKYO)5時間14分42秒
8 吉岡直哉 +15秒
30位 佐藤大志 +2分52秒
40位 佐藤光 +7分50秒
41位 桂慶浩 +8分28秒
56位 白尾雄大 +13分21秒

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