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日本最高峰レース「ツアー・オブ・ジャパン」で谷順成がトップ10に入るまでの裏側 ~後編~


5月末に行われた日本最高峰のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」(以下TOJ)で、谷順成が個人総合時間賞で9位に見事食い込んだ裏側を若杉社長・谷選手・樋口マネージャーの対談形式でお送りする第2弾。

後編は、レース期間中の裏側をお送りいたします。


前編はこちら



TOJが開幕。強豪相手に真っ向勝負を挑む


ー メンバーが決まり、万全な状態でTOJに挑み、第1ステージでは渡邊選手が逃げに乗り谷選手が7位でゴール。第1ステージの話を谷選手目線とスタッフ目線でお聞かせください。

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若杉「今回のTOJ全て鈴木真理コーチにzoomからレースのミーティングに入ってもらってたんですけど、我々が想像しているのとは全然違う視点と作戦を鈴木真理コーチから授けられて、そんなことできるんだというのがあったりするんですよね。

1番最初に話をしていたのは、増田選手(宇都宮ブリッツェン)とかトマ・ルバ選手(キナンサイクリングチーム)、ホセ選手、マンセボ選手(マトリックスパワータグ)とかと真向勝負で登りで戦うと、純粋に適わないだろうと分析した上で、谷も先行するような集団が容認されるんだったら乗っちゃったほうがいいんじゃない?みたいな話をしていたじゃないですか。あのミーティングの感じって谷目線ではどんな感じだった?」

谷「やっぱり僕の中でもあのコース、どういう展開になるんだろうなというのもありました。」
若杉「誰も走ったことなかったからね。」

谷「実際、下の周回コース(オリンピックのTTコース)が、決して真っ平ではなく4周半もすると獲得標高は1400mぐらいまでいく、結構なアップダウンのあるコースで、そこを走った後にあざみラインに行くという事はかなり消耗した状態で登ることになる。そうするとあまりそこで力を使いたくない選手が多いんじゃないのかなと思いました。」

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周回コースにもアップダウンがあり、消耗した状態で富士山に挑む
写真提供:2021ツアー・オブ・ジャパン


若杉「選手心理でいうとね。」

谷「少人数の逃げもかなり脚を使うということで僕が真理さんに伝えたのは、やっぱり真っ向勝負で戦いたいですということでした。でも今回僕と宇志2人で勝負するとなった時に、もし先行の逃げが出来た場合はどちらかが乗って欲しいという話だったので、今回は宇志をそっちに送り込めればいいかなという作戦になったんですよね。」

若杉「結果的に言うと、おそらく全チーム全選手が比較的消極的だったので、スプリント賞狙いの選手たちがパッと逃げて決まってしまったので、そこに渡邊がうまく乗ってくれたという点で言うとそこでポイントを稼げた。ポイント賞あの時暫定で2,3位ぐらいだったかな?

チェックに入った動きで逃げに乗ってくれたので、後ろで控えているブラーゼンの選手たちも当然牽く必要性もなければ、ポジションもある程度取りやすい可能性が高かったので、パッと決まってくれてよかったかなと思う。かつ渡邊が乗ってくれたっていうのが、チーム的には安心材料となったので、まずまず周回コースの消化の仕方に関しては上々でしたね。そこから逃げ集団が吸収されて高速化して行って、あの辺りはチームカーがあんまり前に上がれなくて、選手たちがバラバラと遅れる状態だったから前の状態が見えていなかったんだけど、チームの動きとかってどんな風にあざみラインまで入って行ったんだろう?」

谷「事前のミーティングで、僕たちもやはりあざみラインは前の方で入りたいという風に作戦を組んだんですけど、他のチームも同じことを考えていて周回コースからあざみラインに向かう商店街の所も前に行きたいチームが多く、高速化もして、激しかったかな。」
若杉「商店街なんかあった?」
樋口「ちょっと街中通るんですよ。前日にみんなで車で回った時に(集団前方に)上がれるポイントどこかなっていう話をしていて、ここしかないよねって言ってたけど、よく考えたらみんな見に来てて、みんなそう言ってるんだろうなあと思いました。となると実際にレースしていたらそんな簡単に上がれないですよね。」

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