伯母の家出
新緑の緑色が目に眩しいこの頃。朝晩は少し肌寒いですが、良い季節になりました。
今月の始まりに、私の母親のお姉さん(私の伯母さん、今年80歳)から、母のところに電話がありました。
「私、家を出てきちゃったよ」
伯母の声は興奮して時刻はもう夜中。時にホテルにいることを聞き、明日母のところに来るように言って電話を切ったものの、母もかなり動揺したそうです。
寝耳に水。誰もが想像していなかった出来事が起こりました。
翌日、山梨県から高速バスに乗って1人で長野県に来た伯母は、着の身着のままサンダル履きでした。伯父がお風呂に入っている間に「今しかない」と、とっさに家を出てきたそうです。
母に抱き抱えられるようにして歩く姿を見て、「伯母さん、すごく老けたなあ」と私の胸がギュッと締め付けられる思いでした。
家出のキッカケは伯父との夫婦喧嘩から始まって、いろんな家庭の事情が関わって、我慢ができなくなってしまって行動したみたいです。
で、家出しから数日間、伯母の携帯に着信がありましたが全部無視していたら、当然のことながら、伯伯父が困り果てた声で「数日間も音信不通で、もう警察に相談する」と母に電話がありました。
『80歳で急に姉さんがいなくなってしまったら、そりゃ、義兄さんも心配もするよ。
だからね、姉さんが長野県に来てることは義兄さんに言って、暫くはこちらで過ごしてもらうことを伝えたよ』と母に言われて、伯母もちょっとずつ気持ちが落ち着いて来たみたいでした。
伯母は昭和18年生まれ。高校を卒業後、親元を離れて県外に出て働いて、結婚して子育てして、明治生まれの夫の親を自宅介護して、看取って、今は同居している息子家族と暮らして孫の世話もしてきました。
そうやって、ずっと動いて生きてきたのは「そうするしかなかったから」と言っているけど、黙っていろんなことを背負って生きてきたんだなぁと思います。
妹を頼って来て一緒に過ごすうちに、子どもの頃の思い出話や、早くに無くなってしまった自分たちの兄弟や両親のことなど、たくさん姉妹で話していました。
起きている間中、喋って、泣いて、笑って、食べて、そうしているうちに伯母が元気を取り戻していく姿を母も私も見守っていました。
数日経って、「そろそろ現実に戻るよ」と言って自分で決意して伯父に連絡をとって、伯母はまたバスに乗って山梨県へ帰って行きました。
伯母の家出は、家庭内でストレスが溜まってしまったガス抜きをしにきたみたいに終わったけど、周りの人にも何かが伝わりました。
私は80歳になっても伯母が家出できたって事に、「伯母さん良くやったなあ」と思ったんです。
いくつになっても自分のしたい事をする。シニアになっても何かを変えるエネルギーがあるんだってことを今回見ていて思いました。
私の今後の人生で、「もういい歳だから」って何かを諦めようとする時に、今回の件を思い出し、励まされて、勇気を出して私も行動するんだろうなって感じました。
最後まで読んでいただきありがとうございました😊
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?