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4月4日 kaede

午後11時
パソコンを開いた。

めざましテレビのテーマソングにスピッツが選ばれたってことで、
改めてスピッツにどハマりしている。
フェイクファーとか三日月ロックとか空の飛び方とか、
まあどの曲もカッコいいし、
最近のアルバムなんかだと初恋の嵐のカバーなんか超いい。
運命の人も、遥かも、チェリーも、今思い出してみると、
いつも大切な時には横にスピッツがいた。

中でも、最も好きなのが「楓」。
小学生の時の曲。なんで知ったんだろ。
浪人してた時に通ってた中古レコ屋に突如入荷された「フェイクファー」の1曲。店長に「こういうのを聞く男が、やっぱりちゃんとモテるんですよ」って言われた。ココイチのビルの3階。
難しく儚い高音を、いとも容易く歌い上げる草野マサムネに、
男ながら下半身がじんわりと熱くなった。


忘れはしないよ 時が流れても
いたずらなやりとりや
心のトゲさえも 君が笑えばもう
小さく丸くなっていたこと
かわるがわるのぞいた穴から
何を見てたかなぁ?
一人きりじゃ叶えられない
夢もあったけれど
さよなら 君の声を 抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

「AメロとBメロは明るい感じなのに、サビで急に切なくなる。
 その裏切りが凄い」評:鬼龍院翔


メロディーも、歌詞も、さっきまではちょっと前を向いてたのに、
サビになると突然内省的で、自己嫌悪で。
草野マサムネはいつだってひねくれてた。


昨日、好きな女と上野の桜を見に行った。まあ、嬉しかったですよ。
その子は休み、僕は朝の仕事が終わって、じゃあ夕方集まりましょうって
17時前に集合したんだけど、山手線、ずっと運命の人を口ずさんでましたから。上野に着いてからは、缶ビール片手にイカ焼き頬張ったり、箸がありながらお好み焼きを素手で食べ始める中東人にケラケラ笑ったり、あ〜、ちゃんと楽しいわと、しみじみ。
途中ゲリラ豪雨に見舞われて、コートをずぶ濡れにしながらキャーキャー居酒屋に駆け込んだり、梅サワーの梅を無理やり食べさせ合いっこしたり、恥ずかしい学生ノリもとっても楽しくて、ホント空も飛べそうだった。

3軒目。大統領に着く頃には、もうお互いベロベロ。
そんな中、呂律の回らないその子が、聞いてもないのにふと語り始めた。

「今日はありがとうございました。(覚えてないので中略)
 今は仕事を頑張りたいので、色々と大丈夫なんです。
 こうやって、私を好いてくれてるから、ちゃんと言っておきたくて。
 私史上、こんな面白くいていい人はそういないです。
 ちゃんと友達に紹介させて下さい。」

翌朝、生乾きのコートを着たままベットで寝ていた。
帰った道、帰った時間、なんにも覚えてなかったけど、
ずっと楓を聴いて帰ったことだけは覚えてた。
AメロとBメロは明るい感じなのに、サビで急に切なくなる。


瞬きするほど長い季節が来て
呼び合う名前がこだまし始める
聴こえる?


桜が散って、楓が咲くまで半年以上。
遥か先まで俺待てんの?
あー、つら!!

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