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朝から仕込むピローミスト

がさつで生きてきた私にとって、その性格と家事との相性は悪いと思っていた。

しかし、細部にこだわりを求めてしまう私はときに、その「こだわり」と「がさつさ」で意外な化学反応を生み出す。

大学時代の一人暮らしエピソードは家族にさえもさらけ出すことができない私だけの秘密だ。

ある程度の恥ずべき行動をとっていた。洗濯にしても、料理にしても、洗い物にしても、掃除にしても、最低ラインの一歩手前まで経験済みだ。

いっそのこと、ごみ屋敷になって、虫が湧いて、悪臭が漂って、赤や黒のカビができてしまえばよかった。

それだけのことを犯してしまった自分に猛省できたかもしれない。

しかし、友達が頻繁に出入りしてくれたおかげや、「寝るところだけは神聖な場所」という強い信念のおかげもあり、そこまでの散々な光景を見るには至らなかった。

そんな私も、今となっては実家暮らしをしている訳だが、当り前のように「家事」を任される。

持ち前のがさつさを生かして、いつも仕事だけは早い。持ち前のこだわりを生かして、ハマった時はとことんやれる。

化学反応が起きない限り、いつもマイナスで、化学反応が起きた時はプラマイプラになる。だから全体を通して、プラマイゼロで母からの5段階評価は3くらいだ。

ここ最近の私のこだわりは「寝具の洗濯」である。

もはや、寝る場所をきれいに保つための洗濯ではないと気が付いたのは最近のことだ。

太陽の匂いに包まれたいがための洗濯になっている。

朝は苦手だ。暗すぎる夜も苦手だというのに、明るい朝も苦手だと言ってしまえば、昼へのプレッシャーは相当だが、昼もそこまで好きではない。

でも、夜の布団にたちこめる太陽の匂いに期待して、朝からその匂いを仕込んでいる時間は大好きだ。

朝も夜も好きになれて、その昼ももちろん好きになれる。

一週間に一度はこんなことをしている。

それはいつも、前日の夜の布団の中でお天気アプリに相談して決まる。

それはいつも、その夜さえも好きにさせてくれる。

その匂いはいつも、3日くらいでどこかに行ってしまう。

だから今週も、

私の夜に期待を込めて、朝からピローミストを仕込む。


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