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わたしを月に

「連れて行って」と同じベッドの中、隣で眠りにつこうとしていた彼女は窓の外を見ながらぽつりと呟いた。
「どこに」と尋ねれば、「どこだろうね」と返される。その声色で彼女がこちらに背中を向けていても笑っていることくらいは知ることが出来る。その程度には深い付き合いだったから。

「きみと二人で月にでも行ければ、もうなんの気兼ねもしないで一緒に居れるのかな」
そう呟いた彼女に対して出来ることは、その背中をそっと抱き寄せる事くらいだった。

#写真 #SS

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