セカンダリー(中高一貫校)の選び方 子育て@オーストラリア

以前、私がどうやって小学校を選んだか、について書きましたが、今度はセカンダリーについて書いてみようと思います。
まず、どうやって学校のデータを調べたらいいかわからない方のために、
最初に「My School」というホームページをご紹介します。
このページでオーストラリアの全ての学校の基本情報を検索できます。
Home | My School

学校の分類として、大きく分けて公立、私立、カソリックの3つに分けられます。そして、基本的には日本のような受験はないですが、Selective High Schoolと呼ばれる一部の公立校では試験を受けて合格した人でないと入学できない学校があります。
例:Melbourne High School(男子校・Year9から)、Mac Rob Girls’ High School (女子校・Year9から)、Nossal High School(共学・9年生から)、Suzanne Cory High School(共学・Year10から)など
※通常の学校は私立でも公立でも学力の差がありますが、これらの学校は基本的に高い学力の生徒しかいない学校です。

また、サイエンスに特化した学校もあります。(試験あり)
例:John Monash Science School(共学・Year10から)、Elizabeth Blackburn school of Science(共学・Year7から)

また、公立校の中には、学力の高い生徒だけを集めて、特別なカリキュラムを組んでいるクラスがあります。SEALやEnrichment Classなどと呼ばれています(学校によって呼び名が違いますし、どのようなカリキュラムを組んでいるか、学校によって特色が大きく異なるので、各学校を調べる必要があります)。つまり、このクラスに入るためには、試験があります。

私立には基本的には試験はありませんが、評判の高い私立校に7年生から入学するには早い段階から名前を入れておく必要があります(小学生から入るのは大変ではないため、Year5やYear6から入学して学校に慣れさせる、というケースも多いです)。

さて、この基本情報を踏まえて、どうやって学校を選ぶと良いかを説明していきたいと思います。
セカンダリーで一番大切なのは、その先の進路を踏まえた選び方です。大学進学を考えているのであれば、大学進学に必要なことを意識して学校を選ぶ必要があるでしょう。ビクトリア州で言うと、大学に入るにはVCE(Victoria Certificate Education。大学進学には、Year11&12の2年間のカリキュラムを終え、ATARを得る必要があります)を意識して選ぶことが前提となるでしょう。
VCEは、100を超える科目から好きな科目を選べますが、全ての学校でこの100科目以上を提供しているわけではありません。メジャーな科目はほとんどの学校で履修出来ますが、特殊な科目や、語学の科目については、学校によって履修できるものが異なります。特に特殊な科目を履修したい人、特定の語学科目を絶対履修したいと思っている人は、その科目が履修できる学校かを入学前に調べておくと良いでしょう(当然、提供する科目が変わることもありますし、履修希望者の減少によって、その科目がその学校で履修できなくなることもありますが、事前に調べておくことは大事です)。
その科目を履修出来るかどうかは、VCAAのHPで調べることができます。
School Studies Search (vcaa.vic.edu.au)

※語学については、外部で履修するという選択肢もあります。
通信で履修したり、週末や平日の夕方に履修できる場合がありますので、VSLのHPで調べてみましょう。また、これも年のよって変わるので、それを踏まえておくことも大事です。
Victorian School of Languages (vsl.vic.edu.au)

また、公立の場合は、学区を設けている学校もありますので、その学校に通わせたいと思ったら、引っ越しを余儀なくされる場合もありますので、注意が必要です。人気の公立校だと、この学区内だと家の値段がかなり高かったり、家賃が高かったりします。また、学区の扱いがとても厳しいので、住所だけを借りているのではなく本当に住んでいるか、抜き打ちで入学前に調査員が訪問することがあるそうです。

①私立 vs 公立 vs カトリック
まず選び方で私立か公立かカトリックはとても大事だと思います。今私立校の学費は日本人の感覚からすると異常なほど高く、年間の学費は35,000~50,000ドル(400万円前後)。これを6年間となるとかなりの金額です。
カトリックは学費が20,000ドル前後ですが、当然のことながら宗教色が強いのが特徴的です。値段だけで言えば、公立は通いやすいですが、私立には手厚いサポートや恵まれた施設など、良い学習環境があることも事実です。(その金額だけに見合うものか、というのは今でも疑問ですが…。)
また、有名な私立は、生まれてすぐ名前を登録しておかないとYear7から入学できないような学校もありますので、私立を希望する場合は、本当に早く(幼児の頃)検討して名前を入れる必要があります。某有名私立に4歳の時に名前を入れましたが(これはとりあえず的な感じで)、その時に既にtoo lateと言われ、実際に「入学不可」のレターを受け取りました。

②男子校・女子校 vs 共学
これはどちらにするかで学習環境が大きく異なります。
私の子どもたちは、娘は共学、息子は男子校に通いましたが、子どもたちの話を聞いている限り、授業の雰囲気は随分異なるものでした。
また、男子校は共学とは全く異なり、「男とは」という生徒向けの講座があったり、無人島での長期キャンプ(トイレももちろんなし)があったり、「ティーンエイジャーの男の子を知るために」といった親向けのセミナーがあったり、男子校ならではのものがありました。

③何を重視するか
学校によって、スポーツに力を入れている、音楽に力を入れている、演劇に力を入れている、などなど特徴があります。また特定の科目に力を入れている学校もあります。
また、共学でも内部で男女が分かれていたり、特定の学年だけ男女別々で授業を受けさせるといった特徴的な学校もあります。キャンプが特徴的な学校もあります。学校によって本当に特長があります。
公立には日本の部活のようなものはありませんが、シーズンごとに希望者だけで行うスポーツがあります。そのスポーツ種目も学校によって異なります。
また、私立は、強制参加のスポーツ(平日に練習があり毎週土曜日に試合、など)がある学校が多いので、スポーツが苦手な人にはつらいかもしれません。逆にスポーツに力を入れている人は、そのスポーツでプロ選手を輩出しているような学校を選ぶ人もいます(そういう学校はコーチも元プロの方を雇っている場合があるので)。私立の中でも共生のスポーツがない学校もあるので、やはりその点も調べるポイントとなるでしょう。
※私個人としては、子どもたちには共学が良いと思っていたのですが、息子は特定のスポーツを頑張りたいという強い意思を小学生の時から持っていたので、そのスポーツに非常に力を入れている学校を選ぶポイントの一つにした。また、小学4年生頃から「この子には男子校の方が合っているような気がする」と漠然と思い、それまでは共学の学校にしか名前を入れていなかったのですが、急遽この1校を追加して名前を入れ、名前を入れた時期が遅かったので無理かもしれないと思いましたが、ラッキーなことに入学することができました。

参考までに私がどうやって選んだかを書いておきますね。VCEの日本語を履修できることを最優先の条件として選びました。「日本人の日本語の先生がいるところ」も重要視して選びましたが、その先生は子どもがVCEを履修する頃にはご病気で退職されてしまっていたので、結果的には通信で履修をすることとなりました。(コロナ禍でのVCEだったので、通信だったのは逆に良かったかもしれません)
あと、私が重視した条件は、あまり大きくない学校。子どもの性格からこじんまりした学校の方が合っていると思っていたからです。また、1キャンパス(私立だといくつもキャンパスがある学校もあります)の学校がいいと思っていました。1キャンパスを希望したのは、大きな学校に通っていた先輩ママから、複数のキャンパスを行き来することがあり、バス移動が苦痛だし、時間の無駄だと感じたというのを聞いたからです。また、生徒数が少ない方が手厚い指導が受けられるのではと思いました。あまり大きくない学校を選んだのは良かったと思っていますが、科目履修に関しては、生徒数が多い方が科目の選択肢が広がるので、大きい学校のメリットもたくさんあります。(小さな学校だと、1つの科目が1枠しかない場合が多々あります。そうすると、科目を変更したい時に、他の科目と被ってしまうと、科目変更ができなかったり、その科目が選べない、ということが起きます。ちょっとこの説明だけでは理解できないかもしれませんが、VCEの科目選択において、これは結構重要なポイントなんです。)

あとは、子供が一人で家から通いやすい場所にあること。私が平日は毎日働いており、送迎はしないことを前提にしていました。こちらの交通の便は悪く、バスや電車が時間通り来ないことも多いので、乗り換えをせずに通えるところが良いと思っていました。
結果的に、子どものスポーツで迎えに行かなくてはいけないことも多々ありましたし、子どもが忘れ物を届けて!と連絡してきて、仕事の合間に届けることも何回かあったので、近い学校で良かったとつくづく思いました。

あとは、とにかくたくさんの学校を見学することも大事です。私は候補ではない学校も含めてたくさんの説明会やスクールツアーに参加しました。条件はいいのに、実際に見ると、ここはないな、と思った学校もありました。たくさん見ることで、学校の特徴や雰囲気を見極める目も肥えてきますし、どんな層のご家族が通う学校かも他のツアー参加者を見てなんとなくですがわかるようになります。そして親の感覚で、この学校は自分の子どもに合いそうだなーというのがわかるようになります。
そして、いくつかの学校に候補を絞り、今度は子どもと一緒にそれらの学校を見学して、子どもがここに通いたいと言った学校を最終的に選びました。

私は学校選びでランキングはあまり気にしませんでしたが、良いATARを取るには、学校のランキングも重要になるので、ランキングを調べられるHPもご紹介しておきますね。
https://bettereducation.com.au/results/vce.aspx?yr=2023

セカンダリー選びは本当に大事です。勉強においてだけでなく、人格形成などの上でも大きな影響を受けます。
日本人の感覚だと、小学6年生の時に中学校を選ぶと考えるかもしれませんが、それでは遅すぎます。数年かけて選ぶつもりで、時間をかけて情報収集をしましょう。学校のHPは良いことしか書いていませんので、実際に学校まで足を運ぶことはとても大事ですし、説明会やスクールツアー以外の日にも行ってみて、学校の雰囲気や通っている生徒の日常の様子を見ることもお勧めします。

皆さんのお子さんのセカンダリー選びのお役に立てれば幸いです。



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