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「7位を目指した最終節」20-21 PL 第38節 アーセナル×ブライトン レビュー

プレミアリーグもいよいよ最終節。アーセナルとしては非常に厳しかった今シーズン。他チームの結果次第ではあるものの、勝利すれば7位に浮上する可能性があり、来シーズン新設されるカンファレンスリーグへの出場権獲得のかかる最終節となった。
対するブライトンは16位。プレミアリーグ残留も決め、最終節はアウェイということでモチベーションの維持も難しい状況。アーセナルとしては勝たなくてはならない相手である。
エミレーツスタジアムにサポーターが帰ってきたプレミアリーグ最終節。アーセナルとしては何としてでも勝利で終えたい1戦。

プレミアリーグでの前回対戦時レビューはこちら

■ チーム概要

【HOME】
・アーセナル(監督:ミケル・アルテタ)
フォーメーション:4-2-3-1
【HOME】
・ブライトン(監督:グレアム・ポッター)
フォーメーション:4-3-3

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アーセナルは今シーズン限りで退団が決まったダビドルイス、そして退団濃厚とされているベジェリンはメンバー外。疲れの見えるサカを休ませる布陣となった。

■ 前半①:アーセナルの前線プレス

試合開始から積極的に前線プレスを実行するアーセナル。狙いはブライトンの左CBダンク。ブライトンのビルドアップに対してオーバメヤン、ウーデゴールが左側からプレスを行いダンクのサイドへ誘導。チェルシー戦でも見せた右利きの左CBを狙う作戦。

4-3-3で挑んだブライトンの3センターに対してもマークをつけるアーセナル。アンカーのビスマにはトーマスが、右CHのグロスにジャカがマークにつき、全体的に高い位置をとるアーセナル。そして左CHウェブスターへのパスコースはぺぺが切りながら左SBバーンへのプレスを狙う。

ウーデゴールのプレスの上手さ、そして守備をサボらなくなったぺぺの頑張りがあって実現する前線の守備。チームとしてこれが出来るようになったのは大きい。

31分のシーンでは、ウーデゴールのプレスからダンクの縦パスをぺぺがパスカット。そのまま左サイドへ展開しティアニーがクロス。これはGKに止められてしまったが、アーセナルの前線プレスの狙いが上手くハマったシーンだった。

ただ、前線プレスで2CHを高い位置へ上げているという事は、その分後ろには広大なスペースが生まれる。
34分〜のシーンでは、ジャカとトーマスの2CH裏のスペースにブライトンのアリスターがFWの位置から下がる事で上手くビルドアップの出口になり、アーセナルの前線プレスを突破。そのままシュートまで持っていかれるシーンがあった。トーマスとホールディングのシュートブロックで事なきを得たが、前線プレスでハメきれなかった時のデメリットが現れたシーンだった。

■ 前半②:ブライトンの守備変更

ブライトンもアーセナルに負けじと押し込んだ際には高い位置から前線プレスを狙っていた。アーセナルのビルドアップは左SBのティアニーを高い位置へ上げ右SBのチェンバースを残し3-2の形でボールを保持する。

ブライトンは4-3-3の3トップ(アリスターはゼロトップ気味)でビルドアップの3枚にプレスを実行するが強度が弱くあまりハマらない。反対にアーセナルはカウンターから何度かチャンスを作り出せる状況になっていた。

前線プレスがうまくハマらないブライトン。25分頃からは守備方法を変更。ゼロトップのアリスターを中盤に下げて両WGをFWに。4-4-2で守る形へシフト。

アーセナルはボールを保持する時間も長く試合を支配したものの、なかなか決定機までは至らず。前半1番のチャンスは、43分のコーナーキックの流れからジャカのゴール前へのロブパスをマガリャンイスが頭で合わせたシーンぐらい。これも残念ながらクロスバーに阻まれてしまい、前半はスコアレスで終了となる。

■ 後半:ブライトンの悪手

ブライトンは後半の頭から2枚替え。トロサールとジャハンバフシュを下げてララーナとコノリーを投入。コノリーはワントップ、ララーナはCHに入りアリスターがトップ下に。4-2-3-1のシステムに変更した。しかし、結果的にこの交代は悪手となる。

48分、アーセナルのビルドアップでジャカからピッチ中央のウーデゴールへ縦パスが通る。ウーデゴールのマークはララーナが担当だが、マークが甘くウーデゴールが良い位置でパスを受けられることに。ウーデゴールは左サイドのティアニーへスルーパス、一気にチーム全体の押し上げを加速させる。
ティアニーのクロスはブロックされるもスミス=ロウがボールを拾いやり直し。右サイドをオーバーラップしてきたチェンバースへ展開。チェンバース得意の低く早いクロスはぺぺの足元へ。ぺぺは左足でこれをトラップし右足でシュート。これが決まりアーセナルが先制に成功する。

53分もビルドアップからミドルサードでウーデゴールが上手くボールを受けて前を向き、オーバメヤンへスルーパス。オーバメヤンはシュートまでいけずにウーデゴールへリターン。ここでもシュートまでいけなかったが、先制点と同様にウーデゴールから良い展開を作り出していた。

先制点のシーンも追加点のチャンスもウーデゴールのマークについていたのは交代で投入されたララーナ。前半ウーデゴールのマークについていたのはアンカーのビスマ。守備能力の高いビスマからララーナに相手が変わった事で結果的にアーセナルが多くのチャンスを作り出せるようになっていた。

59分、ミドルサードでのトランジション勝負でジャカの頑張りからアーセナルがボール奪取。そのままウーデゴール、ぺぺとパスを繋ぐ。ぺぺはドリブルでペナルティエリアへ侵入。相手を抜ききらずに足を出させ、股の間を抜く技ありシュートをゴール左隅へ流し込み、この日2点目。

この追加点のシーンでもトランジション勝負になるきっかけになったのはウーデゴールのところ。ウーデゴールへの縦パスを止められなかったのはまたしてもララーナ。ここがこの試合の成否を大きく分ける事となった。

結局、試合はこのまま2-0で終了。アーセナルがサポーターの前で最終節を完勝で締めくくった。

■ 試合結果

Arsenal 2 × 0 Brighton

■ 得点
49分:ペペ(アシスト:チェンバース)
60分:ペペ(アシスト:ウーデゴール)

■ 交代
45分:トロサール → ララーナ
45分:ジャハンバフシュ → コノリー
66分:アリスター → アルザテ
74分:スミス=ロウ → サカ
79分:オーバメヤン → ラカゼット
86分:ウーデゴール → マルティネッリ

■ 試合ハイライト

■ あとがき

最終節を無事に勝利で締めくくったアーセナル。しかし、他チームの結果により最終順位は8位となり、残念ながら来シーズンのヨーロッパ大会への出場は無くなった。

今シーズン、ボールを保持出来ても中央を使えずに苦戦続きだったアーセナル。ファイナルサードで相手を崩しきれない試合が多かったが、ウーデゴールをレンタルで獲得し、スミス=ロウが台頭してからはそれが少し解消されてきた。

この試合でも多くのチャンスを作り出していたウーデゴール。2得点のきっかけになったのも彼のプレーだった。ただ、ウーデゴールはレンタル。来シーズンは不在となる可能性が高く、彼がいなくなればファイナルサードでのクリエイティビティ不足は深刻となる。ここは来シーズンに向けて大きな課題となった。

ヨーロッパ大会への出場もなくなり、大掛かりなチームの刷新が必要となったアーセナル。良くも悪くもプレミアリーグに集中する事となった来シーズンは、アルテタにとって正念場となる。

幸いスカッドには、サカ、スミス=ロウ、マルティネッリ、ティアニー、マガリャンイスなど、将来に期待を持てる若手は多い。来シーズンは彼らを中心に据えてチーム作りを行いCL出場権を獲得することが出来れば成功と言えるだろう。

オフシーズンは早い段階でチームの刷新を終え、プレシーズンでしっかりとチーム戦術を浸透させた上で来シーズンに挑んで欲しい。

そして、来シーズンこそCL出場権獲得を。


見出し画像 引用元:アーセナル公式HP
ハイライト動画:アーセナル公式 You Tube
フォーメーション画像作成:TACTICALista