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18-19 PL 第36節 Leicester City × Arsenal

アーセナルはプレミアリーグ2連敗中とここに来て絶不調。今節も中2日と厳しい日程でアウェイ、レスターと対峙する。レスターはEL出場権獲得を争っている最中だ。
手前で3位のスパーズが敗れたため、この試合でアーセナルが勝つと再び勝ち点差が1になり、3位も狙える位置につけることができる。
しかし、エジルは足の怪我、ラムジーは引き続きハムストリングの怪我でこの試合を欠場。サブメンバーには攻撃的な選手だとヌケティアぐらいしかいない陣容となっているが、難敵レスター相手にアーセナルは勝利を挙げることができるのだろうか。

PLでの前回対戦時レビューはこちら
18-19 PL 第9節 Arsenal×Leicester City

■チーム概要

【HOME】
・レスター(監督:ブレンダン・ロジャーズ)
フォーメーション
基本:4-2-3-1
保持:3-3-3-1
非保持:4-5-1

【AWAY】
・アーセナル(監督:ウナイ・エメリ)
フォーメーション
基本:4-4-2
ボール保持:4-4-2
ボール非保持:4-4-2

■前半の試合展開

4-4-2のフォーメーションで挑んだアーセナルは、ここ2試合共に3失点を喫しているということもあってなのか、全体的に引き気味で試合に入る。レスターDF陣のパス回しにもプレッシングはあまり行わず、自陣に入ってきた辺りからようやくプレッシングを開始する。

エジル不在、ムヒタリアンもここ数試合はオフェンス面で不調が続いており、相手を押し込んだ際に崩しきれるメンバーではないということもあり、エメリはおそらくカウンター主体の戦術を採用したのだと思われる。そのため、前線からのプレッシングは行わず、レスターを引き出しておいてオーバメヤン、ラカゼットの2トップでカウンターを狙おうという意図だろう。

対するレスターは、アーセナルがプレッシングに来ないため自陣からしっかりとビルドアップ。ただ、アーセナルが2トップということで、必ず最終ラインに3枚は残す形を取る。一番頻繁に見られた形は、エンディディがアンカーポジションに入り2CBと右SBの3枚が最終ライン、チョーダリーが左SBへ落ちることで左SBのチルウェルを高く上げて、左SHのマディソンが中央へ入りゲームメイクする形。マディソン、ティーレマンスを前向きにプレーさせてチャンスを演出していた。

8分、レスターのカウンターを阻止したということで、ナイルズに早くもイエローカード。たしかに阻止はしたが早い時間帯ということもあり、このジャッジはなかなかシビアに見えたし、その手前でオーバメヤンに対するレスターのプレーもファールに見えた。

レスターがボールを保持、アーセナルがブロックを作っての守備からカウンターという構図でゲームが進む中、22分にアーセナルがチャンスを迎える。カウンターから左サイドへ展開し、最後はイウォビのクロスをラカゼットが合わせるもシュートは枠外へ。オーバメヤンが抜け出したあとのスペースをラカゼットが使った狙い通りの形。この試合、アーセナルはようやく初めての決定機を作った。

アーセナルがようやく決定機を演出したものの、ゲームはレスターペースで進む。引き続きボールを保持しつつ、マディソンを中心にチャンスを演出。バーディーのスピードを活かせる場面ではシンプルにロングボールを蹴るなど多様な攻撃を見せる。アーセナルはGKレノのビッグセーブなどでこれをなんとか凌ぐ。

34分にアーセナルは再度カウンターからラカゼット、オーバメヤン、イウォビとつなぎGKと1対1になるもイウォビの放ったシュートはGKの正面。2度目の決定機もものに出来ず。

その後35分にナイルズがボールをコントロールミスし、それを挽回しようとスライディングしたプレーで2枚目のイエローカードを提示され退場処分に。よく見ると相手には当たっていないようにも見えるがもちろん判定は覆らず。ただ、すでに1枚イエローカードをもらっている中でナイルズのこのプレーは軽率だった。早い時間帯に数的不利になってしまったアーセナルは、右SBにムヒタリアンを、オーバメヤンを右SHへ下げた4-4-1の布陣へ変更する。

数的不利になったこもともあり、アーセナルは一方的に攻め込まれるも何とか凌いで前半を0-0で終える。

■後半の試合展開

後半スタートから両チームともにカードを切る。アーセナルはイウォビを下げてコシエルニーを投入。ムスタフィを右SBへ変更し、ラカゼットとオーバメヤンの2トップで4-3-2の布陣で挑む。レスターが前がかりになってくるところを何とか耐え忍んで2トップのカウンターを狙う形。レスターはエンディディを下げてバーンズを投入。マディソンを中央に配置し、チョーダリーをアンカーにする4-1-4-1の形に。数的優位になったため前に枚数を割いて得点を狙おうという意図に見える。

数的不利ながら4-3のブロックを作ってなんとか凌ぐアーセナルだったが、59分に遂に均衡が破れる。4-3で守るとどうしても生じる中盤3枚の脇からマディソンにアーリークロスを入れられ、これをティーレマンスが頭で合わせてゴール。絶対に生じる守備の穴を突き、素晴らしいクロスからのゴールだった。

アーセナルは73分にムヒタリアンを下げてゲンドゥージを投入。おそらく守備を考えて残しておいたムヒタリアンだったが、ビハインドになったことでボールを前進させることに長けているゲンドゥージを投入したのだろう。その後、79分にはラカゼットを下げてヌケティアを投入。正直この采配は意味がよくわからなかった。守備陣と前線のリンク役はこの試合ラカゼットぐらいしかいなかったし、ヌケティア優れた若手選手とはいえラカゼットよりもゴールの可能性を感じさせるまでには至っていない。この交代は残り10分近くになり、この試合は諦めてELのことを考えてラカゼットを温存したかのようにも見えた。

そして86分、アーセナルのオフサイドから得たフリーキックをGKシュマイケルがキック。大きく飛んだボールはそのままアーセナルDF陣の裏まで届き、これをヴァーディがGKの頭を越すループシュート。一旦クロスバーに当たるも跳ね返りを再度ヴァーディが押し込んでレスターが追加点。試合を決定づける。

試合終了間際には右SBのリカルド・ペレイラがドリブルで持ち上がり、最後は中でフリーになっていたヴァーディにパスを送り追加点。ゲンドゥージの甘い守備、抜かれたあとのカバーもなく軽率な守備で失点。結果的にレスターが3点をもぎ取って勝利を飾った。

■試合結果

Leicester City 3 × 0 Arsenal

■得点
59分:ティーレマンス(アシスト:マディソン)
86分:ヴァーディ
90分+5分:ヴァーディ(アシスト:リカルド)

■交代
36分:ナイルズ(2枚のイエローカードで退場処分)
45分:イウォビ → コシエルニー
45分:エンディディ → バーンズ
73分:ムヒタリアン → ゲンドゥージ
79分:ラカゼット → ヌケティア
79分:チョーダリー → メンディ
86分:オルブライトン → グレイ

■まとめ

CL出場権をかけて勝利が必要な試合でまさかの3連敗。しかも3試合連続で3失点を喫し、守備もガタガタの状態。これで順位は5位。自力でのCL出場権獲得は不可能な形に。

EL準々決勝のナポリ戦1stレグから数えて6試合連続で中2日が続いたアーセナル。過密日程でコンディションは下がり続け、長期離脱を含むけが人も出てしまい駒不足は否めない。八方塞がりに近い状況とはいえ、試合を通してアーセナルの選手からCL出場権を勝ち取るのだという気概が感じられないのは非常に残念だ。

ただ、4位争いをしている他の3チームも近しい状況となっており、勝ち点を稼げていないのが唯一の救い。とはいえ、自力での4位浮上は消滅してしまったので、いよいよEL優勝に的を絞るべきなのかもしれない。

次はELの準決勝でバレンシアをホームに迎える。ようやく少し休めて中4日。CL出場権獲得に向けて重要な一戦となる。