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農場にて (2)

私が働いていた農場はバンクーバーから東に100kmほどの所にある畜産農家で、動物の世話や小屋の周辺作業が主な仕事でした。隣の農場にはプロペラ機があり、「海外の農場にいるんだなぁ」という感覚を一層引き立たせてくれました。

農場によってさまざまだと思いますが、私の農場では、週休2日、1日の労働時間は平均して約7時間ほどだったと思います。また、途中から宿と食費を抜いた給料がもらえるようになりました(月1200CADぐらいだったかな)。

仕事内容

肝心の仕事内容ですが、楽しいものから厳しいものまで様々でした。
羊の群れを古い牧草地から新しい牧草地へ数日ごとに移す仕事では、牧羊犬に追われた数百匹の羊が餌を持つ自分目指して突進してきます。その光景は圧巻です。また、自分で育てた野菜を食べることができたり、その育てていたブロッコリーだけ馬にすべて食べられたりと、農場ならではの楽しさを感じる仕事もできました。

一方、農場では現実を突きつけられるような厳しい仕事もしなければなりません。羊の毛を刈ることから始まり、ここには書くことができないようなとんでもない仕事も多く経験しました。

しかし、私たちが生き物の肉を食べたり飲んだり、革製品を身に着けたりする裏側では、常にこのような仕事が要求されます。
人間の生活のために、他の生物の命を「いただいている」という事実や、それに感謝しなければならないということを再認識させられました。

農場生活

農場で生活していると、動物の脱走や野生動物の襲来等々、日本での生活とは異なる様々な事件が起こります。

ある夜、農場内の自室にいたときに、突然銃声が聞こえてびっくりしたことがあります。
農場主含め、他の従業員の人々は他の農場に出払っており、農場には私しかいないはずです。

「外に出て、何があったか色々と確認しないと!」と準備を始めましたが、そのうちに夜の農場といういかにもホラー映画で出てきそうな状況に怖くなり、建物の戸締りをした後にクローゼットに身を潜めました(本当です)。

翌日、この時の銃声は農場主がコヨーテという狼に似た動物を仕留めた時のものだったと判明しましたが、あの時は怖かったなぁ。

コヨーテは日本では見かけませんが、北アメリカには多く生息していて、たまに農場にいる動物を襲ったりすることがあるそうです。

コヨーテ(Canis latrans)は、食肉目イヌ科イヌ属に分類される食肉類。オオカミに近縁で、形態も似るが小型。
出典:Wikipedia

実際、仕留めたコヨーテの死骸を見ましたが、犬よりは狼に近い動物でした。

他にも、過激な動物権利団体に農場の周囲を囲っている柵を全部壊されてしまったり、動物が逃がされてしまったことがありました。また次回お話を書こうと思います。

前回のお話はこちらです。ご一読いただければ幸いです。