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十年ぶりに父と話すきっかけに。喜多川泰さんの「運転者」が、ぼくの背中を押してくれた

父に対しての、後ろめたい思い


それは高校生に上がると同時に
野球を辞めてしまったこと。

野球好きの父の影響で、
ぼくは小学校1年生から中学卒業まで
野球チームに入っていた。

部活のあとは、素振りやランニングの自主練習が日課。
野球が上手くなるための本も沢山読んだ。

しかし、うまくならなかった。
ヒットも打てないし、強肩でも俊足でもない。
沢山悩んだけど、全く上達しない。

当然レギュラーには選ばれず。

隠れてタバコを吸っているけど体格の大きい子や、いじめっ子だけどセンスはある子がレギュラーに選出された。


「頑張っても結局センスには勝てないんだ」 


こうして自分の才能の無さに絶望し、
高校生になると野球を辞め、アルバイトをするように。

「野球を辞めた自分には価値がない」  
「期待に応えられなかった自分は、
 父に嫌われている」 
「努力しても意味がない。結局は才能だ」


こういったネガティブな思い込みができた。

父から期待を感じていた分、合わす顔がなくなっていき、段々と気まずくなっていく。

父と向き合うきっかけとなった、彼女に勧めてもらった一冊。


気がつけば、26歳。
もう十年くらい会話をしていなかった。

社会人となり、1人暮らしも経験したが、
毎月の生活費で精一杯。

そんなとき、父の存在を思い出すように。

「1人で家族5人も養うなんてすごいな」
「毎日、自転車で通勤して、朝はランニングや筋トレをしていた。
その継続力って実は素晴らしい才能じゃん」

今の関係性をなんとかしたいと思いながらも、

どうしたらいいのか分からないのと、
気恥ずかしさがあり、
なかなか一歩踏み出せない。

そんなとき、彼女から勧められたのが、 

喜多川泰さんの『運転者 未来を変える過去からの使者』

主人公と父の関係、
まさに自分と父との関係と同じだ!

そして、主人公は自分に似ている…!

運転手の言葉が身にしみる。

そうして気がついた。

ブログや筋トレ、瞑想など成果が出にくいものでも、諦めず継続ができること、
人よりも体力があることは、
ぼくが身につけた強みだと思っていた。

でも、それは父から受け継いだものだったんだ…!


ぼくは知らないうちに、
運や才能をもらっていた。

それなのに、人のせいにして、
自分には才能がないなんて思っていたなんて…

「父と話たい!話して自分の思いや感謝を伝えたい!」

しかし、嫌われてたらどうしよう。
と考えてしまいなかなか踏み込めない。

でも、自分を変えたい。
後悔する前に感謝を伝えなければ。

思い切って電話をした。


ついに父に電話。十年ぶりに話してみた…


驚いていた。

相槌を打つタイミングが揃ってしまい、
ぎこちない会話に。

それでも一呼吸おいて、野球を辞めてしまった後、ぼくのことをどう思っていたのか聞いてみた。

どんな反応が返ってくるか不安だったが、

「野球を辞めてしまったのは、仕方がない。
それよりも今元気でいるようでよかった。
いつかお酒を飲みながら話したいね。」

嫌われているわけじゃなかったんだ。
スーッと肩の荷が降りていくのを感じる。

結局自分は父が好きだったんだ。
認められたかったんだ。

1人で5人も養っていたのは、素直にすごいと思ったこと、今も健康でいられるのは父から受け継いだ無尽蔵の体力のおかげだということ。

今までの思いを伝えた。
父は照れ臭そうに話を聞いていた。

どう反応したら良いか分からない様子。

完全に打ち解けるにはまだ時間はかかると思うが、突破口を作ることができた。

父と話し、思い込みが解けたことで、自分自身を認められた。

自分の今までの努力をする姿は、
もしかしたら父に勇気を与えることができていたのかもしれない。

父と話すきっかけを与えてくれたのも、彼女のおかげだったな。

人と人は知らないうちに自然と助け合って生きているんだな。

毎日食事ができることや、健康でいられること、
パートナーそばにいてくれること。住んでいる町が綺麗なこと。

なんだか全てのことに感謝の気持ちが湧いてくるように。

「未来は自分で決められる。そして起こったことはすべて自分のためになる。
だから、自分には価値がない、才能なんてないと思わずに、精一杯今を生きよう。」

少しだけ自分が成長できた気がした。

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