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#038 ラーメン屋とビール屋の共通点

数年前のことです。
ラーメンの話で盛り上がりました。その時の記憶が蘇ってきたので書いてみます。


ラーメン屋はカンタン?

近所のレストランのマスターとカウンター越しに話をしていたときに、彼の言葉が耳に止まりました。彼に言わせるとラーメンという料理は簡単で熟練しなくてもできるとのことでした。「煮込めばいいだけなので簡単」と。

ラーメン屋の店主はこだわりの食材を時間をかけ、手間暇かけて調理するというイメージがあった私の印象と違っていたのでもっと話を詳しく聞いてみました。

わかったこと
フランス料理やイタリヤ料理は火加減に刹那のタイミングが大事な料理がたくさんあります。また、素材によって味付けのセンスや盛り付けのセンスが必要で一皿づつにセンスが必要。つまり年単位の修業が必要。

それに比べて、ラーメンは煮込んでスープをができてしまえばあとはマニュアルがあればだれでも作れます。もちろん、麺が伸びてしまわない程度に手際は必要だけれども。そしてスープもマニュアル化しやすい。

この話を聞いて納得しました。
ラーメンはスープにオリジナリティはあるだろうけど、ひとたびレシピができてしまえばトレーニング期間は数日でも作れるでしょう。つまり、コピー商品は簡単に作れるわけです。そういう意味でチェーン店にはとても向いている料理だと言えるとわかりました。

フレンチ経験が長いマスターにしてみれば、複数の料理を同時並行して火入れのタイミングを見極めることと比べれば出来上がったスープと調味料を混ぜ、麺のゆで具合はタイマーで管理すればよいというラーメンは"カンタン"と言ってしまうのでしょう。(もちろん、彼はラーメンを見下して言ったのではありません、仕組みとして優れているという文脈で話していました。ココ重要)

ビールとの共通点

ここからビールの話です。
ビール造りについても私は同じ印象を持ちました。発酵を操るのでもう少し見えづらい面はありますが基本的にはレシピを通りつくるやり方はそっくりです。

やり方としては
麦芽の出汁を取るわけでビールの仕込みはラーメンのスープを作る工程とよく似ています。温度を一定に維持する。沸騰させる。
そんなことは現代の調理器具ならできてあたりまえ。

ではビール造りでもっともテクニックが必要な点は何か。2つあるのですが今回は一個だけお話しします。
それはレシピを考案することです。複数の材料を混ぜ合わせて、スープを作り味をデザインする。これはビールもラーメンも近いものがあります。

ラーメンもビールもレシピづくりに最も経験が必要でコピー商品を作るのはそんなに難しくないということです。(長期品質は別として)

仕組みを作る凄み

つまり、レシピを作れる人というのが貴重なのです。狙いの味を数回の実験で実現できる。それがプロです。

備後福山ブルーイングカレッジの訪問を経てそんなことを感じました。
ちょっとシンプルに書きましたが要するにレシピ開発できる醸造家は凄いんだということです。

では、おやすみなさい。
ばいちゃ!

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