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夜の太陽、昼間の月(13)

ずっとずっと遠くの国
遠い遠いその国に
たった一人で住んでいる猫がおりました
とても可愛い猫でした

茶色いまだら模様の長い尻尾
ポッチャリさんです
クリクリした金目で
何を見ているのやら

おやおや
何かを見つけたようです
さっきからじーっと動かないのです
一体何を見つけたのでしょう

どうやら一匹の蜘蛛です
小さな蜘蛛が
草むらの隅っこで
カサコソ カサコソ

きっとどこに巣を作ろうか
最高の場所を探しているようです
だって、だれにとっても
家は大事 とっても大事

するとさっきの猫が言いました
だったら僕の背中においでよ
とっても温ったかだよ
ねえ、おいでよ

猫は寂しかったのです
生まれた時からずっと一人ぼっちでしたから
淡い記憶のお母さんは
とおの昔にいなくなっていました

だからさ
一緒に仲良くくらそうよ
ね、そうしようよ
そしたら、君をいろんな所に連れて行ってあげる

ね、そうしよう

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