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【旅】新幹線で飲むならば

  勝負は新幹線からはじまっている。
  否、新幹線に乗る前、の、その前の電車に乗る前。要は、地元駅からはじまっていて、ターミナル駅に頼り切るなどもってのほかである。だけれども、ターミナルでしか買えないものもあるから、新幹線や特急に乗る前は忙しい。トイレは出る前にすまそうね、である。

  乗る電車によって、思いの外所要時間が短かったりする。単純に乗車時間が短いということだ。その時間マイナス10分、さらに5分。これが、新幹線で飲める大凡おおよその制限時間だ。東海道線に東京、品川から乗るとすると、荷物を置いたり、テーブルを出して酒肴弁当を並べたり、いやに薄いが必要最低限の崎陽軒付属簡易お手ふきなどで手をふいているうちに、馬込から上池、雪谷、御嶽山、多摩川を越えて、東京よさようならなんて思っているうちに、新横浜。まだ、缶ビールを鳴かせていない一方、時間命のサラリーマンなどは、深川めし弁当の空箱に箸を入れて、乱暴に掛紙をかけ輪ゴムべちべち鳴らし、捨てるついでにはばかりに立つ。

  行き先が京大阪なら、あせることはない。

  新横浜を過ぎてからが旅だ。いままでのは移動。なんせ、いつもの景色ではないか。

  のぞみで名古屋。ロング缶がまるまる2本あったりすると、ちょっとあせったほうがいい。もちろん、ペースによる。ふつう、なんてない、ひと、それぞれ。

  では、ある日の大阪行き。

ポケットシウマイ/大船軒サンドウヰッチ
ハモンセラーノ
ヱビス500ml/角ハイ500ml 2本

・ポケットシウマイ

  勝負しない男だなと、わらわば笑えの崎陽軒。ポケットシウマイの6コ300円は、量といい値段といい、旅のお守りがわりにちょうどいい。出発時間が早すぎると、まだ、ポケットの入荷がなかったりする。すると、選択肢は15コ…これじゃあ荷が勝ち過ぎている。シウマイ弁当だと白飯がイラナイ。

・大船軒 サンドヰッチ

  飲みたいけど、すこし炭水化物も入れておきたい。大阪着いたら、まず、所謂居酒屋なので、ここは洋物で。と、いう流れで、これも地元駅とかではなくターミナル駅習いで、100有余年の歴史をもつ大船軒のサンドヰッチ。ハイボールやビールとこのサンドイッチ。パン、ハム、チーズ、どれをとってもバランスがいい。

  ついて、すぐ、飲む。それから、また、飲む。そんな日程だったので、追加厳禁の二時間二十分三本勝負。
  だからといって、降車直前に無理やり残り三分の一を流し込んだり、まして、捨てる時に、ゴトンっなんて音を立てるほど飲み残してはいけない。年百年中飲んでてそれでは、あたかも、北条氏政の汁かけメシだ。

  こんなくだらないことをいつ考えているのか。それは、新幹線の車窓をほろ酔い加減で眺めながらである。

書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。