見出し画像

夜と霧-ドイツ強制収容所の体験記録-(旧版)

夜と霧を読了し、このタイトルの意味が気になった。なぜなら、内容は全く夜っぽくも霧っぽくもなかったから。

夜と霧というタイトルは、ヒトラーの総統司令「夜と霧」からとっているらしい。
そもそもその夜と霧という言葉は、ヒトラーが愛聴していたリヒャルト・ワーグナーの作品「ラインの黄金」第3場「ニーベルハイム」に出てくる„Nacht und Nebel, niemand gleich!“(「夜と霧になれ、誰の目にも映らないように!」)という呪文からとっているのだとか。

ちなみにこれは日本語版だけで、
英語だと「Man's Search For Meaning: An Introduction to Logotherapy」(人生の意味の探求: ロゴセラピー入門)
原版のドイツ語だと「Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager」(それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する)
なので、日本語版だけやや詩的に見える。

旧版と新版はだいぶ違うらしく、旧版の方が表記に遠慮がない。
80ページにわたる解説と写真も入っている。

いかなる状況でも生きようとする人間の強さ、たくましさ
アウシュビッツで行われていた非人道的行為の悲惨さ
人間の尊厳とは。数字と物理的な肉体としてしか見られない個人。
繊細な性質の人の方が、強靭な肉体を持つものよりも収容所生活をよく耐え得た。
未来への希望が精神を保つ。失望は人を殺す。生きるためには拠り所が必要。

「逆境を乗り越えて人は成長する」っていうじゃないですか。アウシュビッツを生き抜いて解放された人々は、あれの過酷版だと思いました。
また、心理学的視点で記述されているところが非常に興味深く、解放後にどう精神を復活させるかということが最後に述べられていたのも面白かった。囚人たちは解放されて喜びを感じることはなく、むしろ脱力してしまい、(それは潜函病のようであると述べられている)心理的な危険に脅かされていたのだとか。

この内容はこれとして受け止めつつ、ユダヤ人が迫害された背景をもっと知りたいと思ったし、また、別の戦争、例えば日本が加害者側になったものなどについても知らないといけないと思わされました。

しのだまきこさんみたいな読んだ本についてのnote、書けるようになりたいよなぁ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?