砂漠に咲く一凛の花と22時前に眠る僕との関係。

・木曜日の朝に疑念が生まれて、金曜日の朝確信したことがある。朝起きるのが辛い。
 体力がなくなってきているのだと思う。
 今はまだちょっと寝起きがダルいだけだけど、歳をとってくると、ちょっとどころではなくなってくるかもしれないし、木曜や金曜ではなくて、火曜日とかからそれが始まるかもしれない……。
 そう思うと、今のうちから体力を付けておかないといけないと焦る。
 昨日話した40歳くらいの同期の人たちは、仕事をした後にサッカーやバドミントンをしているらしい。サッカーの人は月曜日にだ。
 もしかして、そういうバイタリティがある人しか仕事は続けられないのか?
 仕事終わりにスポーツができる人でないと(仕事をするのは)難しい。ということなのか!

・ちゃんとした大人と話していると、普段僕が適当に喋っていることが浮き彫りになって恥ずかしい。
 人と話す時、僕は「ビッとしてますね〜」とか「巨大すね〜」みたいなことを言う。大人は「ビッてなに」と聞いてくる。
 すると僕は「ビッ」ってなんなんだよ……? と戸惑ってしまう。

・今日の仕事は封筒にハンコを押す仕事で、経験してきた仕事の中でもけっこう責任感のある仕事だといえます。
 今日1日でハンコを押すのがとても上手になった。今日のハンコは細長いモノで、電話番号などが彫られている。下手なハンコ押しをしてしまうと端に力が伝わらないので、番号が識別できなくなる。左右上下へ均等に力を加えることが大事だ。

・ハンコを押していると先輩からサイクリングに誘われた。
 社用電動自転車に乗った。電動自転車を漕ぐのは初めてだった。結構グングン進むなぁ〜と思っていたら電源が入っていなかったみたいで、じゃあ僕は何をグングンだと思っていたのか。
 電源を入れたら、お父さんが背中を押してくれているとしか考えられないくらい進んで驚いた。

・優しい人2人が飲みに誘ってくれた。2人とも賢い大学の心理学部を卒業していて、腹の中を探ってしまいますよね〜みたいなことをしきりに言っていた。
 恋愛の話になった。僕は婚活パーティーなどでは活躍できないが、お見合いの形式だと力を発揮するらしい。理由は僕が噛めば噛むほど良くなるキャラだからだそうだ。
 まだ出会ってから2週間くらいしか経っていないのにどうしてそんなことを言えるのかと思うけれど、賢いし心理の人だから、言えるのだろう。悪い表現にするとファーストインプレッションがカスということになる。
 話している片方は恋愛をこなして人間的に成長しようとして、結果異性に変な偏見を持ってしまったらしい。僕は人間関係を成長に使うことが不誠実だと決めつけて全て拒否した人だから、ねじ曲がっているとはいえ新しい観点を持っている人だった。
 もう1人は結婚秒読みの人だった。
 2人の心理人が恋愛についてなにやら論理的に話し合っているのを、僕は相槌を打って見ていた。
 話が一段落着いたあと、2人は感想戦を始める。あの時言葉に詰まったのにはこういう意味があるだとか、話がヒートアップするにつれて目を見開いているだとか、わざと鋭い言葉を避けましたねだとか、そういうことを言い合って笑っている。心理を学んだ人はキモいのかもしれない。

・心理で学んだことなのかもしれないけれど、2人がやたら僕のことを褒めてくれるから嬉しい。若干"子どもにしては賢い"みたいなニュアンスが含まれている気もするけれど、勝手に汲み取って落ち込むのはダサいので、素直に嬉しく思っておく。

・解散したあと、1人が「今日はありがとう!」のLINEを送ってくれた。僕が好きだった人もそういうことをする人だったと思い出した。
 僕はそんなこと思いつかないし、今回も思い出せなかったし、アイデアがあっても実行しないだろうと思う。
 今日だって、僕から誘おうと思っていたのに、1日悩んでやっぱりやめた。どうしてやめたか思い出せないので、なんとなくやめたのだと思う。これからは理由付きの行動を心がけていこうと思った。でなければ、関係がなんとなく砂漠化していく。

・心理学たちと話していると、今の“間”がおもしろいねだとか、言葉選びがすごいんだよだとか、僕が衒ったことを全部言い当ててくるから、恥ずかしくなる。発した言葉の全部が“技術”として回収されていく。
 とても恥ずかしいけど、僕は不器用だからああすることでしか人と関われないので、なすすべなく恥ずかしくなっていく。

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