サナギからサナギ(1)へ。

・今日は卒業式だった。当日の朝4時まで眠ることができないで、トロトロ目覚めてフラフラ家を出た。こんな生活も今日までにしたい。卒業式といえど単なる365分の1でしかないけれど、それを契機にできるかどうかは自分次第だ、と考えてみる。こういうこと、人に言われるとマジにムカついて、手首までささくれろと呪ってしまいがちだけれど、自分で言う分には、無限の根拠を持つ応援だと思える。

・折角だから大学生活を思い出してみる。
 しかし、僕の大学生活には友人どころか知り合いすらも0人で、さらにあらゆるイベントをスキップしているので、思い出のフックがなかなか無い。あんな生活をしていたので1人でも楽しくなれる人間として成長(調整?)してしまった。
 それでも人といる方が楽しいので(3年の時に気づいた)、思い出というより後悔の記録と表した方が近いかもしれない。

・卒業式会場へはバスで移動する。卒業生たちが2列に並んで乗り込む。数人の友達グループが次々乗り込んでいく。そこに僕がソロで並んでいる。
 僕の後ろには2人組が並んでいた。バスは奥から詰めて座らなければならず、バスは2人シートだったので、僕は2人組を壊して、片割れと同席してしまった。
 本当に申し訳ない。
 卒業式において一人は罪。

・卒業式が終わり、証書などを受け取る会が開かれる。休憩は90分ほどあって、各々写真を撮ったり食事をしたりという時間らしいけれど、僕は財布を忘れてきていて、自撮りで校内を回ったけれどそれも一瞬で終わったので、証書を渡される大講義室に1人でずっと座っている。

・入学してすぐの頃、通学途中に高校でちょっと仲の良かった人を見かけた。でも、金髪に染めていてピアスを付けていたから、怖くて避けてしまった(オタクは金髪の人を反社と同じくらい怖がっている)。
 それからはその人を見かけることもなくなった。

・思い出せる記憶がもう尽きてしまった。本当にスカスカの大学生活だ。タイパ・コスパ、どちらも最悪。

・ゼミの先生へ花束を送ろう! の企画が立ち上がった。発起人は美人で、最初に賛成した人はコワモテなのを活かして純なことを言うというボケ方をする人だった。グループに招待されて、「花束を贈りませんか!」「いいね。1人500円でどう?」というような内容のチャットを見せられる。絶対に裏で決めてからグループを作っているのに、なぜか初めて聞いたみたいな寸劇をする。
 僕は学校をサボりまくっていたところを先生に助けられたので、花束を贈ることには当然賛成だった。
 賛成の人はこのメッセージにスタンプ押してください。と言われた。初めて見る機能を使った。大人数と繋がっている人しか使わない機能だった。
 当日、発起人たちが花束を渡しているのを遠くから見ていた。輪に入れていなさすぎるからだ。そして、財布を忘れているので、500円を踏み倒して帰った。財布を忘れたことをコワモテに説明すると、「じゃあ別にいいですよ」と言われた。コワモテは誰にも敬語を使わないのに、僕にだけ使う。
 悪性腫瘍みたいな人間。

・学割証明書を貰う方法を探して校内をウロウロしていた。写真を撮っている人がたくさんいたので、被害者じみた表現をすると、疎外感がある。
 歩いていると名前を呼ばれた。この学校に僕の名前を知っている人はいないはずだし、イヤホンを付けいているので話しかける人もいないはずだと思いながらも振り返った。
 全然知らない3人がいた。正確に言えばさっぱり覚えていない3人だった。とりあえず愛想笑い(3人からすれば不気味だったろう)をして、適当に話を合わせて思い出すのを待つか、正直に関係を聞くか、どちらにしようか考えていると「覚えてないよね」とはにかまれた。だから僕は謝って、その場から逃げた。

・僕の人格の最大の問題はここにある。
 他人への尊重や敬意がない。

・こういう自分から卒業したい。
 あと、こんなふうにウマいこと言ったみたいな顔をするのもダサいからやめたい。

・恥ずかしい話だけれど、僕は大学のことを働く資格を得るために耐えなければならない苦行だと思っていて、ついに卒業式までそのスタンスでいたけれど、それだと、当然のことながら、ほとんどなにをしたか覚えていない。
 このことを半面教師にして、生きていきたい。


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