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【エッセイ】エンパス!現実主義の母と私と幽霊と 14. 前世からの因縁と繋がり

 これまでも私は何度か自殺未遂をしているが、結婚してから四年過ぎての自殺未遂は今までよりも大ごとになった。

 気が付いたら私は病院にいて、自殺を図ってから二日が経過していた。目が覚めてもあんまり意識がハッキリしなくて、その間、病院の先生や看護師さん達に聞き取りをされたり、脳波などの検査もされたが、とにかくボーッとなっていて、家に帰ってからも魂が抜けたようになっていた。たぶん二週間くらいはベッドで寝ていたのではないだろうか。

 そうして、ようやく意識が現実に戻ってきた時、全てにおいて私は吹っ切れていた。まるで人が変わったみたいに、それまでの価値観がガラリと変わっていたのだ。

 家に帰ってからも何度か通院したので、おそらく病院の先生とか周りは私が精神的なダメージを受けたせいでおかしくなったと思っていたに違いない。価値観だけでなく、急に態度も言葉使いも変わったのなら誰だってそう思うのは当然だろう。
 中でも一番戸惑っていたのは旦那だった。
 正直、最初の病院での旦那の様子がどうだったか、細かな事はよく覚えていない。ただ、旦那が焦った感じで自慢の外面を発揮して病院の先生になにか言い訳していたのを横目で見たけど、その時ばかりは何の方便も通用しなくて少し責められる形になっていた。私に対しても妙にソワソワして、多少なりとも気を遣っていたようにも思う。


 ところで、ここでハッキリ言ってしまうが、私はあの時、けして精神的ダメージのせいで別人みたいになったのではないし、ましてや頭がおかしくなった訳でもない。

 では何故突然全てにおいて吹っ切れたのか――。
 それは私が上の存在(霊的存在)と意識が繋がり、いろいろレクチャーされていたからだった。
 突然また不思議体験をぶっ込んでしまって申し訳ないが、それが事実なのだから仕方ない。


 実は自殺未遂をしてから約二週間、私が常にボーッとしていたのは、魂の半分がこの世に、もう半分があの世に行っている状態だったからだった。
 魂の半分をこの世に残したまま、もう半分は天界にて様々な事を見聞きし、そして学びを得ていたのだ。

 思えば結婚してからというもの、とんと守護霊様との交流などはなくなっていたが、こんな形になってからまた突然サポートされた。
 あちらからしたら「チッ、仕方ねぇな!」みたいな感覚だったのだろうが、私にとってはこのタイミングで手を差し伸べられた事はありがたかった。

 具体的にだが、まず意識のない最初の二日間はガッツリ今までのおさらいをさせられた。
 それはいつだったか見せられた前世の記憶の映像と、自分が産まれる出る時の【心が痛い方がマシです。どうか今度は体の痛みより心が痛い方の人生でありますように】と願った記憶。

 それは、だからこそ今世は精神的に辛い人生になっているのだという言葉のない説得で、誰でもない私自身がそれを望み、選択した人生の課題なのだという教え。

 まずはそれらを踏まえた上で、病院で目を覚ましてからの私は上の存在たちと言葉ではないテレパシーのようなもので実に様々なやり取りをした。
 それは他愛もない話から、以前感じた疑問の謎解き、現世でのアドバイスに至るまで本当に多岐に渡るもので……。

 印象的な事でいえば、潜在的に母を苦手とする原因がここで明らかになった。

 実は母と私は前世からの因縁があり、それがいわば敵同士の関係である事が分かったのだ。
 いつだったか幼い頃、暴力や暴言で支配するこの家族関係が【軍隊みたいだ】と感じた通り、前世でユダヤ人だった私は前世で敵兵士だった母に追い詰められた。そして今世で母が一番可愛がっている弟は前世でも母の家族だったのだ。


 謎解きはこれだけに留まらず、なんと私と旦那にも前世からの繋がりがあった。

 時代は前世がユダヤ人だった頃よりも古い時代で、旦那と私は共に中国人だった。
 その時の関係性は、上司と部下みたいな関係で、私はけっこう偉い立場の人の奥方であり、その偉い人の忠実な臣下が旦那だった。
 どちらも恋心がありながらもけしてそれを口には出さず、定期的に通う礼拝堂でのみ逢瀬を重ねていたようだ。

 その当時の映像を見せられたが、薄暗い礼拝堂で二人並んで手を合わせている姿は本当にお互いを意識し合っている様だった。でもこの想いは打ち明けてはならない、固く胸に秘めておく、そんな切ない心情で……。


 ……うん。なんかもうね、「ハア?」って感じだったよね。
 そんな前世がありながらも、実際今世で夫婦になってみたらこのザマだ。憐れなものだよ、ご愁傷さま〜。

 テレビや映画なんかではこういう場合、絶対ハッピーエンドだっただろう。

 【前世ではけして叶わぬ恋だった。だが今世で再び巡り合った二人は今度こそ幸せになりましたとさ。めでたしめでたし。】

 これこそがみんなが信じて疑わない当たり前で定番の展開だと思うよね。
 でも現実なんてまるで違うし裏切ってくる。たとえ前世で繋がっていたって、前世で二人が想い合っていたって、必ず幸せになれるとは限らない。身に染みて私はそれを思い知った。

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