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【後編】4ヶ月のパパ育休体験談 〜育休準備とキャリア形成に繋がるメリット〜

私が約5年前に出産したとき、夫は1ヶ月の育休を取りました。周囲では数日〜1ヶ月程度の育休を取ったパパが多かった印象ですが、最近ではさらに長期間の育休を取得する人もいるようです。

今回は実際に4ヶ月間育休を取得したIさんに、育休前に仕事面で準備したことや育休を通して感じた自身の変化などについて伺いました。普段から仕事に情熱を燃やすIさんは、育休を子育てに専念する期間としてだけでなく、キャリアパスの一部としても捉えていたんだそう。どのように復職後のキャリアに繋げたのでしょうか。

【Iさんのプロフィール】
大手上場企業に勤める入社14年目の管理職。育休取得前は3部署を掛け持ちし、多忙な日々を過ごす。第一子の誕生に伴い、2022年9〜12月の4ヶ月間育休を取得。

パパ育休が当たり前の職場

——育休を4ヶ月取得されましたが、お勤め先では男性社員が育休を取ることが奨励されているのでしょうか。

男性の育休取得率はかなり高いです。期間は人によって1〜3ヶ月とまちまちですが、私は担当していたプロジェクトが節目を迎えるタイミングだったので、少し長めに取らせてもらいました。

——「(男性は)育休が取りづらい」という声を耳にすることがあるのですが、取得することに対してネガティブな雰囲気はないのでしょうか。

まったくそんな雰囲気はないですね。逆に「いいじゃない」と言われたくらいで。子育て中の社員に対して、とても理解のある社風なんです。子どもの体調不良で急遽帰らなければならないときも、「(子どもが最優先だから)すぐ帰っていいよ。あとはやっておくから」と送り出すくらいです。

育休取得〜復職後まで見据えて準備

——育休に入る前に、仕事の面で準備したことはありますか?

育休を取得する約1年前、妊活に入るタイミングで今後の見通しを上司に伝えました。「これから妊活する予定なので、早めに授かった場合は初夏に生まれる可能性があります。そうなったら育休を取りたいです」と正直に相談しました。

——一般的には妊娠がわかってから上司に相談する人が多いと思うのですが、どうして妊活を始めるタイミングで伝えたのでしょうか?

「自分が上司の立場だったら」と想像したときに、人員のやりくりが一番大変だろうなと感じたんです。早めにわかっていれば色々と手が打ちやすいだろうと。妊娠の話題は安定期に入らないと耳に入ってこないことが多いと思うのですが、奥さんがまったく違う職場だったこともあり、あえて妊活前に相談することにしました。

奥さんの妊娠がわかり私の育休が確定してからは、復職後の準備に取り掛かりました。

——復職後の準備とは?

勤務年数を考えると、復職のタイミングで部署異動になるだろうと予想していたんです。そこで「復職したら異動だと思うので」と前置きし、次に手掛けたいプロジェクトの企画書を上司に提出し、希望部署の部長にもプレゼンしました。

これまでも自分がやりたいことを提案して、希望部署への異動を勝ち取ってきたんです。できることをすべてやりきって育休に入りました。

内省が納得感のあるキャリア形成を生む

——4ヶ月間仕事から離れてみてどうでしたか?

これまでは「プロジェクトや会社を通して、社会に何を実現させたいのか」「限りある人生で何を為すのか」と常日頃考えていました。自分自身のアクセルを目一杯踏み続けて結果を追い求める、それが私のスタンダードだったんです。でも、育休中に洗濯・掃除・炊事・風呂・寝るという日々の営みを淡々と続けていたら、自ずと生きること自体に意識が向くようになりました。

——育休中に「仕事がしたい」という欲求は生まれましたか?

生まれませんでしたね。淡々と暮らし続けることは、ある意味自分にとっては新鮮だったんです。「今は人生の違うフェーズにいるんだ」という自覚もあったので、無意識にブレーキをかけていたところもあると思います。それに、育休前にすべての仕事を引き継いだので、気に掛かるものもありませんでした。まるで1回退職したような感覚でしたね。

——育休を取得すると一定期間仕事から離れることになりますが、キャリア面ではメリットがあると思いますか?

個人的な見解ですが、メリットはあると思います。私にとって育休期間は、自分の内側を探索する時間にもなったからです。

「自分は何に幸せを感じて、何に対して憤りや悲しみを感じるのか」「物事に対してどういう感情を抱いているのか」を内省した上で、「今後の人生で自分はどう在りたいのか」と大きな視野で考えるようになりました。得られた答えは、納得感を持ったキャリア形成に繋がると感じています。

——Iさん、貴重な体験談をどうもありがとうございました!

編集後記

育休というとキャリアが一度途切れてしまう、空白期間という印象がありました。でもIさんは育休をキャリアパスの一部として捉え、事前に次のキャリアに繋げる準備をされていたことに驚きました。

また子どもが生まれると、パパ・ママという新たなアイデンティが生まれ、価値観も変わってくるもの。親になって改めて内省することで、これまでとは違ったキャリアの選択肢が生まれる人もいると思います。育休は空白期間ではなく、次のステージへの準備期間とも言えるのかもしれません。


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