ステラおばさんじゃねーよっ‼️66.白日夢〜猫キャラ封筒
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️65.カイワレさんへ❷〜知波からの手紙〜 は、こちら。
🍪 超・救急車
翌朝9時頃に、小鳥遊宅のチャイムが鳴った。
宅配便が届いたのかと、知波は夢うつつでその音を聞いた。
身体が重だるく、玄関へ出向く力がどうにも湧いてこない。
「はーい!」
歩はインターホンの画面を確認する事なく、玄関へ走っていく。
朝食後の薬が効き始めているのか、知波は全般、反応が鈍い。
特等席のソファに身体を投げ出したまま、思うように動けない。
玄関先で応対する歩の様子が、いつもと違うような気がした。
玄関からダイニングへ向かってくる床音も、歩のものだけではないような…。
「ママ、カイワレさん!心配して来てくれたよ!!」
とっさに知波はうつ伏せになり、頭を両手で隠した。
なんで、カイワレさんが家に来るの?!
ドクンと脈が大きく触れると、知波の心音は一気に加速し、みるみるうちに耳は真っ赤になるのだった。
⭐︎
「おはようございます。今日はどのようなご用件で?」
観念した知波は、スエット上下、すっぴん、しもぶくれの顔で座ったままカイワレを出迎えた。
「突然、お邪魔して申し訳ございません。お見舞いに来ました。これ、つまらないものですが…」
カイワレはアップルパイの箱を差し出した。
ふたりが初めて会った喫茶店の、あのアップルパイを。
現金なものでアップルパイというワードとその箱に、知波はしっかり反応した。
「ありがとうございます。歩、お茶の用意をお願いできる〜?」
「わかったけど、ちょっと待っててー!今、下に降りるから!!」
2階の自室にいる歩は、大声で答えた。
このタイミングしかない!
とっさに鉛の身体を引きずりながら、知波は1階の部屋に何かを取りに行った。
そしてカイワレは、小鳥遊宅のリビングにぽつんと、取り残された。
⭐︎
1通の封書を差し出し、知波は小声の早口でカイワレに伝えた。
「カイワレさん、今日はこの手紙だけで勘弁してください。歩にはもう少ししたら、わたしの口から必ずお話ししますから」
手のひらに隠し持たすように、知波はカイワレへ封筒をつかませた。
封筒には有名猫キャラが描かれていて、クールにこちらを見ていた。
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