ステラおばさんじゃねーよっ‼️61.墓前にて〜誓い〜 ︎
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️61.墓前にて〜納骨〜 は、こちら。
🍪 超・救急車
ポーちゃんはお線香の束に火を点け、ひかりは左右の花立に、供花を生け始めた。
供花は、聖の大好きだった白のカーネーション。
火が点いたお線香を各自に配り、それを焼香台に重ね置き、あらためて墓碑に向かい3人は手を合せた。
線香の白煙が、しっとりと緩やかに昇天した。
⭐︎
納骨式を終えた3人は、古びた木のベンチに座り、供養のひとつとして持ってきたエクレアを頬張った。
エクレア、か…。聖先生、本当に美味しそうに食べてたなぁ。
カイワレが感慨に耽り味わっていると、ポーちゃんが思い出したかのように問いかけてくる。
「あのさ、あれから小鳥遊さんとは連絡取れたの?」
ポーちゃんの言う【あれから】は、聖の御通夜以降を指していた。
「俺からメッセージを送っても、小鳥遊さん、メッセージに【既読】すら付かないんだよ。歩ちゃんとも連絡取って、小鳥遊さんの様子を伺ってるけど、ずっと元気がないみたいなんだよね」
「そうなんだ〜。けど、小鳥遊さんからの証言がなければ聖先生がやった事って、たいちゃんは許せるの?きちんと確かめなきゃ、僕なら聖先生をどこかで恨んでしまいそう」
カイワレも軽くうなずき、言った。
「ポーちゃんの考えと、俺の考えは変わらないよ…こうやって墓碑も完成して一段落したし、5月号の連載で忙しくなる前に、自分から手紙書くなり、家まで行って小鳥遊さんに会いに行くなりしようと考えてるよ」
「ふーん、そっか。なら、良かった!たいちゃんからその後何にも報告ないから、いつもみたいに怖気づいたか、忘れちゃってるかな〜なんて思っちゃった」
ポーちゃんは、あっけらかんとカイワレにそう告げた。
カイワレは薄ら笑いを浮かべながら内心、ムッとしベンチから離れた。
誰よりも小鳥遊さん、つまり俺の母と連絡が取れない事で気を揉んでるのは、俺っ!
そう言い放ちたかったが、ポーちゃんに怒りを差し向けても無意味…。
ひとつひとつ、重なる課題を乗り越えていくしかないのだから。
墓前にて、カイワレはあらためて誓った。
「聖伯母さん、あなたたち姉妹が起こした事件の真相を、必ず俺が突きとめます!」
木桶に汲んだ水を杓(ひしゃく)ですくうと、墓石のてっぺんからゆっくりと掛け流した。
したたり落ちる水の雫が、最期に流した聖の涙と重なって見えた。
それがうれし涙なのか、くやし涙なのかは、誰にもわかる訳がなかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?