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ステラおばさんじゃねーよっ‼️72.墓前にて②〜満開の桜の下で-2〜

👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️72.墓前にて②〜満開の桜の下で-1〜 は、こちら。



🍪 超・救急車


歩は一瞬口をつぐんだが、ひかりの言葉に同調し、話し始めた。

「うん、ごめんなさい。なんだか立ち入った話をさせてしまって。あたし、最初はすっごく驚きました。ママにお姉ちゃんがいたのも、わたしにお兄ちゃんがいたのも…。けど考え直してみたんです。たくさんの奇跡が積み重なって、この家族があるんだな、って。ひかりさんのお話を聞いて、やっと腑に落ちたって言うか…あれ?あたし何、言っちゃってんだろ」

頭をかきながら照れ臭そうにしている姿が、カイワレの姿に重なり、ひかりはくすりと笑った。

⭐︎

知波は、ポーちゃんとカイワレに囲まれて座った。

「ウタさん、太士朗がいつもお世話になり、ありがとうございます」

グラスを持つポーちゃんへ、知波は缶ビールを注いだ。

「ありがとうございます。そうですね、僕らずっと兄弟みたいに育ってきたんで、一緒にいるのが普通でした。でも、聖先生からたいちゃんへ渡された、知波さんが書いた母子手帳と日記帳を初めて見た時、僕、嫉妬しまくりでした」

ポーちゃんはグラスのビールを一気に飲み干し、続けた。

「僕の母は、僕の生命と引き換えにあの世へ逝ってしまった。だから、母ってどんなのかなあって、この丘に来るたび空想してました。でもたいちゃんには、実は生き別れたお母さんがいるって知った時、僕、たいちゃんとはやっぱり家族じゃないんだなって、あらためて突きつけられた気がして…。悔しくて、知波さんが大切にしたためた日記帳に落書きをしてしまいました。本当に、申し訳ありませんでした」

あぐらをかいたポーちゃんがとても小さく見えた。

すかさず、カイワレは話に割り入る。

「そんな事ない!ポーちゃんがいなければ、こうやって母さんにも歩にも、出逢えてないんだよ!」

「たいちゃん、今僕が知波さんとしゃべってる番(ターン)なんだから邪魔しないで!」

「…!…ごめん」

「ほおらすぐいじける。たいちゃんって、面白いでしょ?」

いつもの無邪気なポーちゃんが、知波に笑って話しかけた。

知波は言った。

「今の太士朗があるのは、ウタさん、ひかりさん、聖がいてくれたからです。わたしには感謝しかありません!それに…わたしを探すきっかけをくれたのは、ウタさんだって聞いてます。だから、その落書きでご縁がつながったのならば、むしろありがたいです!」

めずらしく赤ワインに手をつけた知波の顔がゆでダコのようになり、ワイングラスには落桜の花弁が静かに浮かんでいた。

「ちなみに、なんて落書きしたんですか?」

知波は、機嫌良くポーちゃんへ問いかけた。

ポーちゃんは案の定、

「秘密、です!」

と笑って応えた。

⭐︎

宴も酣(たけなわ)となり、身体の芯に寒さが伝わる寸前に、宴はお開きになった。

帰りは例のリムジンに乗り込み、皆で帰路を目指した。

小鳥遊家の自宅付近で3人を降ろし、ポーちゃんとひかりは、ひかりの邸へと帰っていった。

「スゴスギる車…だったね」

初乗車の歩と知波は、それ以上の言葉が出せないでいた。

すると、

「早くお風呂に入って、温まりたーい!」

と歩が言うと、

カイワレが、

「出さなきゃ負けよ、ジャンケンポン!」

とかけ声と手を出した。

「やったー!ママが1番めー♡」

知波は歓声を上げ、少女のように喜んだ。

ふたりは顔を見合せ、含み笑いをしていた。

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