顔が黄色い。みかんを食べすぎたせい?~黄疸~

我々黄色人種は、白人と比較するとメラニンのタイプと量が異なり、皮膚の色がやや黄色がかっている見えるが、ここで言う「顔が黄色い」というのはそれとは全く異なる。今までの自分の肌を比較して、黄色くなるということだ。

みかんをたくさん食べたとき

みかんの食べ過ぎで手が黄色くなった経験がある人も多いだろう。
あれはみかんに含まれる「カロテン」という色素が体内に蓄積することにより起こる症状だ。
この「カロテン」、特に皮膚の角質層、表皮、皮下脂肪層に沈着しやすい特徴を持つため、厚い角質層を有する手のひらや足の裏が黄色くなりやすい
みかんによって黄色くなっている場合、食べなければ自然と色は戻っていく。

黄疸は治療が必要か?

それに対し、本来体の外に排出されるはずの黄色い成分(=ビリルビン)がうまく排出されないで蓄積することによって顔が黄色くなる場合がある。これが黄疸だ。

ただし、黄疸と一言で言っても治療が必要なものと、治療はいらないものとがある。治療がいらない黄疸としては、生まれたばかりの新生児に見られる「新生児黄疸」や、遺伝的な異常によってビリルビン(黄色い成分)濃度が高くなる「体質性黄疸」などが挙げられる。

新生児黄疸は数日で改善し、体質性黄疸は皮膚が黄色い以外の症状を呈さないことがほとんどである。

一方、治療が必要な黄疸としては、「閉塞性黄疸」や「溶血性黄疸」がある。今回はこのうち、消化器内科に関りが深い「閉塞性黄疸」について記載してみたい。

閉塞性黄疸

読んで字のごとく、閉塞することによって起きる黄疸である。
では何が閉塞するのか、というと胆管である。

肝臓・胆管・膵臓の模式図

以前、胆石についての記事を記載したときに作成した模式図だが、肝臓で作られた胆汁という消化液は、胆管を通って腸管へ放出される。この胆汁、いつでも垂れ流しというわけではなく、胆嚢に一時的に蓄えられ、食事に反応して胆嚢が収縮することで胆汁が出てくる、という仕組みだ。

この胆汁に、ビリルビンという黄色い色素が含まれており、何らかの原因で腸管内へ胆汁が放出できなくなると、肝臓から血液中に逆流し、皮膚の色が黄色くなる。これが「黄疸」という状態である。

閉塞する原因

  1. 胆管そのものが狭くなる:癌、免疫の異常(原発性硬化性胆管炎など)

  2. 胆管が異物でふさがる:胆石

  3. 外から胆管が押しつぶされる:癌(膵癌、リンパ節転移)

胆管が閉塞する原因を大きく分けると、上の3つに分類される。
つまり癌や免疫異常によって胆管そのものが狭くなってしまう場合、胆石によって胆管がふさがってしまう場合、癌などで胆管が押しつぶされる場合である。この中で最も頻度として多いのは、やはり胆石だ。胆石によって黄疸が出ている場合の特徴は、他の原因によって黄疸が生じている場合と比較して、強いお腹の痛みが出やすいということだ。胆石の詳細は以前記載している。「胆石がなぜできるのか?」「胆石と食事は関係するのか?」など興味があれば、『みぞおちのやや右側が痛い~胆石~』をクリックしてみてほしい。

胆管が閉塞する癌

胆管そのものに癌が出来てしまう場合、「胆管癌」、もしくは胆嚢にできた癌も合わせて「胆道癌」と呼ばれる。

胆管が外から圧排される癌としては、膵癌がある。
上の模式図で書いたように、胆管は膵臓と合流してから腸管へつながる。そのため、膵臓の胆管側(=膵頭部とよぶ)に癌ができると、胆管がつぶされて黄疸が出る。

膵癌以外にも、胃癌や肝臓癌などが、胆管周囲のリンパ節に転移した場合、その転移してサイズが大きくなったリンパ節が胆管をつぶしてしまうことがある。

いずれの場合にも、黄疸を改善させるためには狭くなっているところを広げてやる必要があるため、胃カメラを使って狭いところにチューブ(プラスチック製、もしくは金属製)を置いてくる処置が必要になる。

胆管癌や膵癌は、症状が出にくいため、病気が進んで黄疸が出てから初めて判明する場合が非常に多い。もし、今までと比較して顔が黄色いと感じた場合には、速やかに病院を受診して検査を受けてほしい。

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