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塩分制限は本当にした方がよいのか?

スーパーで買い物をしていると、やたらと目につく言葉がある。それは「減塩」だ。醤油、味噌といった調味料をはじめとして、レトルト食品やお弁当など多くの商品が減塩をうたっている。塩分制限は本当にした方がよいのだろうか。現在までの研究結果を振り返ってみる。ちなみに結論は、「心臓・腎臓・肝臓が悪い人は減塩した方が良い。それらに問題がない場合、血圧と塩分が関係する、とは言い切れない」である。

1954年、ダール博士(米国)の発表

戦後、GHQのルイス・ダール博士が日本の鹿児島と青森を含む世界5地域を調べたところ、1日の塩分摂取量が14グラムの鹿児島の高血圧発症率が20%であるのに対し、28グラムの青森では40%だったことから、「塩分の摂り過ぎが高血圧につながる」と結論づけた。

1972年、メーネリー博士(米国)の発表

10匹のラットに毎日20~30グラムの食塩を与えたところ、4匹が高血圧になったことから、塩分の取り過ぎ=高血圧の原因と結論付けた。この2つのセンセーショナルな報告により、塩分過多で高血圧になると広く認識されるようになった。

これらの発表の問題点

ダール博士の発表

後にダール博士が調査した村や町を再調査したところ、地域別の住民の食事による塩分摂取量と高血圧の発症率に因果関係が見いだせなかったこと、本当の原因は農家の家屋構造にあることが判明している。

メネリー博士の発表

実験の問題点は、ラットに毎日20~30グラムの食塩を与えている点だ。この量は人に換算すると、1日300gの塩を半年間摂取するという極端な量になる。この量を摂取すれば何らかの異常を起こしてもおかしくない。また、このような過酷な条件下においても、半数以上の10匹中6匹のネズミに高血圧が発症しなかった事実から、塩と高血圧に因果関係があるとはいいがたい。

最近の研究

高血圧と塩分は関連しないという調査結果も多くみられる一方、減塩すれば血圧も下がる、という論文も見られる。果たして塩分と血圧は関係するのだろうか・・・。

答えは「個人差が大きい」だと思う。食塩感受性といって、塩によって血圧が上がりやすい人も確かにいる。が全員ではない。食塩を控えることで血圧が下がるのなら、減塩すべきだろう。でも減塩していても血圧が下がらないのなら、それは他に血圧が高くなる要因がある。

また一口に「塩」といっても、精製塩と天然塩とがある。精製塩とは、イオン膜ろ過法を用いて海水から塩化ナトリウムのみを結晶化させたもので、成分の99%以上が塩化ナトリウムとなっている。一方の天然塩は海水を天日で干して結晶化させたものであり、塩化ナトリウムのほか、カリウムやマグネシウム、鉄、カルシウムなどのミネラルが含まれており、塩化ナトリウムは約80-90%程度となっている。

精製塩と血圧の関係について記載された論文は見つけられなかったが、塩は人体にとって必要不可欠なものである。海から生まれた生物に塩化ナトリウムだけ与えていればよい、というのも不自然であり、どうせ摂るなら天然塩の方がよいと考えている。


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