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「美空ひばりの”柔”」/日本人として俺たちはこういう生き方をしてきたしこれからもこう生きていくんだ、と励まし続けてくれる唄

 美空ひばりに”柔”という唄がある。昭和39年発売で昭和40年にレコード大賞を受賞しているが、youtubeなどで手軽に聴けるようになり本当に喜ばしく、今もその唄声に対する嘉賞は多い。素晴らしい歌謡曲だと思う。

 作詞は関沢新一で七、八分で止めて余韻を醸しながら結論にもっていく美しい韻律を持ち、それに歩調ぴったりにひばりの歌唱力を存分に引き出す古賀政男の至高のメロディーが寄り添い、そして何はなくとも美空ひばりの歌唱。それは、美空ひばりの最高峰であるとともに、日本歌謡史の最高峰であろうと思わせられる。

 これほどまでに日本人の生き方を心の底からの喜びと共に感じさせてくれる唄を他に知らない。歌姫美空ひばりの歌唱力という言葉では尽くせない飛び切りの芸術とも言える表現力が日本人の心の芯に迫ってくる。

 俺たちはこういう生き方をしてきたし、ずっとこう思って生きてきた、これからもこう生きるんだと勇気づけてくれる。

 明治以来の西欧近代は、日本人に「個」の確立、自立を求めてやまず、その相克に我々は常に悩みこれからも悩み続けるのだろうが、迷わずこの道を進むしかないのだ、といつも背中を叩き元気づけてくれる「柔」。世紀を超えて日本人の心に響く名曲中の名曲であろうと思う。

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