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【映画】『ジャンヌ・デュ・バリー国王最期の愛人』


あまり良い入りではないので、見る予定の方は早めに映画館へ
ジャンヌ・デュ・バリー、そう!あのデュ・バリー夫人ですよ。フランス国王ルイ15世の公妾(愛妾ではなく、こう訳すのが正解らしい。公に認められている第二夫人という扱いか?)、王太子妃マリー・アントワネットに「フランス王室は堕落しました!王太子妃が娼婦に負けたのです!!」とベルばらで言わせた彼女です。

主な登場人物は
●ジャンヌ・デュ・バリー(修道士と飯炊き女の間に生まれた私生児、パリで娼婦同然の生活をしていたところ、国王が気に入りそうな女ということでリシュリュー公爵とデュ・バリー伯爵が目を付ける。)
●ルイ15世(女好き~~)
●ラ・ボルド(国王の侍従長?お顔が18世紀のヨーロッパ貴族の肖像画に居そうなタイプ。時代的に違和感がない。Goodな配役)
●デュ・バリー伯爵(国王に紹介するまでのジャンヌの愛人、ジャンヌが国王の公妾になるためには貴族であることが必須だったので正式に婚姻する)
●リシュリュー公爵(おそらく3代目、三銃士の悪役リシュリュー枢機卿(初代リシュリュー公爵)の姉妹の孫かひ孫)
●ルイ・オーギュスト王太子(ルイ16世、高身長のイケメン、物静か、思慮深く温厚)
●マリー・アントワネット王太子妃(王太子妃時代の肖像画そっくりな配役、すごい!としか言いようがない。可愛い~~彼女を見られただけで満足)
ジャンヌはフランス地方都市で生まれ育つが、母が働いていた貴族の女主に泥棒の濡れ衣を着せられて追い出される。(夫がジャンヌと関係を持つ前に手を打った)母娘はパリに移り住む。ジャンヌが娼婦のような生活を送っている店には貴族も来ており、その中にリシュリュー公爵とデュ・バリー伯爵がいた。デュ・バリー伯爵はジャンヌを気に入っていてチャンスがあれば囲いたいくらいは思っている。リシュリュー公爵の悩みの種は国王に宛がった女性が気に入られなかったことだ。そこで目をつけたのがジャンヌ。
リシュリュー公は見た目がかなりご老人の域に達しているがしっかり味見している。
ジャンヌはデュ・バリー伯に囲われることになり彼の家で暮らすことに。そこには彼の息子(アドルフ)が同居しているが、彼女とアドルフの関係は良好。ジャンヌは母が働いていた貴族の館で最低限の教養を身につけていたし、修道院にいたこともあるのでそれなりの知性はあったようだ。(彼女は文字が読めるし、読書好きなようだった。)
王妃が亡くなった後(映画では名前のみ登場でナレ死)、ジャンヌは晴れて公妾になるとアドルフの将来のため彼が好きな貴族の娘と婚姻できるよう働きかける。
うまく行ったのに、彼は決闘で重傷を負いそのまま亡くなってしまう。見栄えの良い青年だが時折見せる短気さは父親譲りなようで、そのせいで早世することになったのだろう。
彼女は自身の内側に入ってきた者に対してはかなり寛容で慈悲深い。その最たる者が国王から贈られたアフリカ系インド人の少年だろう。彼女は少年をいたく気に入り小姓にする。また勉強の機会も与える。少年はそれに応えて忠実な小姓として成長していくのだが、彼は最後の最後に裏切る。フランスに革命が起きると共和党に荷担し、裁判にかけられた彼女を凶弾する。映画では描かれないところで何かあったのだろうか?ナレーションでは「元主への恨みからか」と言っていた。
映画の中で、彼女は国王の寵愛を良いことに高飛車な態度で貴族たちと対峙していたようには描かれていない。
少なくとも公妾という立場はわきまえていたように思う。
(王太子と王太子妃のお披露目晩餐会のときを除いて)
マリー・アントワネットが嫁いできてからの経緯は概ねベルサイユのばらと同じ。まるでベルばらを見ているようでした。
メルシー伯爵も登場しますが、ベルばらより若かった。輿入れしたときには青年伯爵といったところか。(オスカル様はいない。)
国王の3人娘(お世辞にも品位があるとは思えない)たちに脇を固められ、王太子妃がジャンヌに話しかけることはない。
で、ついに声をかけることになったとき、ベルばらでは3人娘のひとり(多分アデレード)がアントワネットを連れ去ってしまい失敗に終わるでした。(失敗したのはアントワネットの意思ではない。)
映画ではジャンヌの反対側にいた貴族がペットの犬を連れており、それにアントワネットが興味を示してしまいそのまま声をかけ忘れちゃいましたみたいな感じになっておりました。
はい、もちろんルイ15世は怒ります。
メルシー伯爵が苦心惨憺の上、れいのあの日ですよ。
ベルばらでは「今日はベルサイユはたいへんな人ですこと」だったかな。
映画では字幕は忘れてしまったが、「人が多いですね」みたいセリフでした。
どちらにしても「人が大勢いる」ってことを言ったと記録に残っているのでしょう。池田さん、50年以上前にちゃんと調べたんですね。
映画ではこのシーン、アントワネットとジャンヌが対峙してというより、アントワネットがたまたま独り言を言ったら目の前にジャンヌがいたとも取れる。なので周囲もジャンヌも「独り言?声をかけた?」どっち?どっち?
でもジャンヌがお付きの女性に「声をかけられたわよね」と確認すると、女性があいまいながらも「かけられた」と答えたので、ジャンヌは大喜びで執務中の国王に報告に行くのでした。
その喜び様は王太子妃を屈服させてやったというより、生まれながらに王女様の王太子妃から声をかけてもらって嬉しいという風に見えた。
それから間もなくしてルイ15世は天然痘を発病
彼は懺悔をするためにジャンヌを宮殿から遠ざけることに。(こういうあたり身勝手だな。現世での罪を懺悔しないと地獄に堕ちるからなんでしょ。地獄が怖いんだって。)
荷物を馬車に積んだ彼女は最期の別れをさせてくれと宮殿に戻ってくるも王族たちから拒絶される。その中で王太子が「会わせてあげなさい」と一言。もう泣ける~~ルイ・オーギュスト~~あなた最高
国王との別れを済ませたジャンヌは質素な馬車で修道院に送られ、1年間幽閉生活をおくります。
新国王ルイ16世がヴェルサイユに近づかないことを条件に幽閉を解き、彼女は生前ルイ15世から贈られた自宅でフランス革命が起きるまで暮らしました。
そして最期は前半に書いたとおり革命裁判にかけられ、1793年12月にギロチンにかけられました。
おまけですが、ルイ15世が崩御したとき、教会で祈りを捧げる王太子夫妻のもとに真っ先に駆けつけたのはアントワネットの教育係ノワイユ伯爵夫人でした。(ベルばらと同じ。池田理代子さん凄いです。)

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