見出し画像

暴走する体

病院に着いてからの私の受け答えは実に冷静だったと思います。もちろん申し訳なさで泣いたり謝ったりはありましたが、基本的に質問には丁寧に答えましたし、特段騒いだり暴れたりはありませんでした。
嘔吐が功を奏したのか、痛すぎて胃洗浄を拒否したものの活性炭を飲んだくらいで手術の必要などはありませんでした。
ただし、今日は入院だよと救命の先生に言われて入院の手続き書類を書くことになりました。
書類を持ってこられたあたりから足の震えが止まらず、落ち着かずにイライラして、書類を書き出すとついに我慢出来なくなったように書類を投げてしまいました。
イライラしてはいましたが物に当たったと言うより、怯えて対象物から距離をとるような感覚でした。
書類に辛うじて書かれた自分の名前も、見たこともない化け物のような字体でした。
それでもなんとか書き終えて、連絡を受けた母も到着し、「大丈夫なの?」「大丈夫、ごめんね仕事中なのに。」なんて会話も交わしました。
いよいよ病棟に移るとなって車椅子に乗った私は、移動しながらまた正体不明のイライラに襲われました。足が意思と関係なく大きく貧乏ゆすりをしてしまう。
結局今でも原因がなんなのかよく分かっていませんが、薬を飲んだあと1番苦しかったのはこの時でした。
気持ち悪くてもクラクラしていても辛いとは思わなかったのに、精神的なストレスは発狂しそうなほど耐え難かったのです。
それは自殺志願者である私をよく表しているようで皮肉でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?