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遠隔リハビリテーションは対面式と同等の効果を有する!

▼ 文献情報 と 抄録和訳

理学療法士の診療における遠隔リハビリテーションの効果;アンブレラ&マッピング・レビューとメタメタ・アナリシス

Suso-Martí, Luis, et al. "Effectiveness of Telerehabilitation in Physical Therapist Practice: An Umbrella and Mapping Review with Meta–Meta-Analysis." Physical therapy 101.5 (2021): pzab075.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] 遠隔リハビリテーションは、コロナウイルス感染症による危機に立ち向かうために、早急に適応すべき選択肢である。理学療法士の診療において、遠隔リハビリテーションが従来のリハビリテーションに代わる有効な選択肢となり得るかどうかを判断するために、利用可能な科学的エビデンスのメタ・メタ・アナリシス(MMA)によるアンブレラとマッピングのレビューを行った。

[方法] システマティックレビューと、現在までに発表されたすべてのシステマティックなエビデンスの知見をビジュアルマップとメタメタ分析(MMA)で統合したものを実施した。Cochrane Database of Systematic Reviews,MEDLINE(PubMed),Google Scholarでシステマティックな検索を実現した。2人の独立した審査員がデータ分析を行い、ROBISを用いてバイアスのリスクを評価しながら、含まれるレビューの質を評価した。

[結果] 包含基準を満たした29編の論文を選択し,リハビリテーションの対象となる患者のタイプ(心肺機能,筋骨格系,神経系の患者)によって分けた。心肺機能と筋骨格の患者については、遠隔リハビリテーションと通常のケアによるリハビリテーションとの間で身体機能に関するMMAは、統計的に有意な差を示さなかった。神経学的疾患の患者では、MMAでは6つのレビューにおいて、遠隔リハビリテーションを支持する統計的に有意な効果の大きさが示されたが、無視できる程度であった(標準化平均差=0.18、95%CI=0.03-0.34)。

[結論] 本レビューの結果から、遠隔リハビリテーションは、従来の対面式のリハビリテーションアプローチに匹敵するポジティブな臨床結果をもたらすことが示された。インパクトコロナウイルス感染症2019の時代に、低コストで患者の日常生活への影響が少ないという利点から、臨床現場での遠隔リハビリテーションの実施が正当化される可能性がある。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

“Meta–Meta-Analysis” という研究デザインをはじめて知った。メタアナリシスよりも信頼できるのだろう。その解析において、遠隔リハが対面リハと同等、もしくは少し凌ぐ効果を有するかもしれないというのは、重大な事項だ。そろそろ、具体的に遠隔リハを導入する手立てを考えていく時期なのかもしれない。