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秋が子どもを育てる #32

  今年ほど「季節の移り変わり」が分からない年はありません。いったい秋はいつ来るのかと思ってしまいます。そうは言っても、私は、やはり「季節の移り」はいつも意識していたいものだと一人ほくそ笑んでいます。
 学校の中でも、季節の移り変わりは、子どもにとっては刺激的なことである分だけ、季節(秋)は子どもを育てるものと私は思っています。
 11月。この時期の「校長室風景」の中に、「朝の清掃(落ち葉集め)と挨拶」のことを書いたものがありました。気持ちよい活動、気持ちよい挨拶は子どもを育てるものです。そんな当たり前の日常が、子どもには大切だとも思います。(平成20年11月 5日 H小学校の学校だよりより引用)

 『朝、校門(新しい南門)の前で登校する子どもらを待ち受けていますと、「爽やかな朝」がたくさん伝わってきます。
 私は、幼稚園門からスタートして、ゴミを拾いながら門に向かっていますと、遠くから
「おはようございます!」「おはようございます!」・・・・
が聞こえてきます。そして、にこにこした顔が近づいてきます。最近は黄色の帽子達も「おはようございます!」がちゃんと言えるようになりました。朝の笑顔が一番です。
 私がゴミ拾いをしていると、最近、それに気づいた子どもらが落ちていたゴミを持ってきてくれます。「手が汚れるからいいよ。」と言っても、ニコッとして私のゴミ袋に入れてくれます。そう言えば、2学期のはじめに、タバコのポイ捨てを牽制するためにタバコの本数一覧表の掲示板(学校の北の角)を設置しましたら、子ども達の反響が一番だったようです。 「こんなに多いんですか?」「ポイ捨てはやめて欲しいです。」・・・・。

 門の前では、当番のお母さん方が挨拶運動をされています。お母さん方の「おはようございます」の声に、子ども達も「おはようございます」と返してくれます。時には、家の人と一緒に登校してくる子も何組かいらっしゃいます。家の人に「行ってきます。」と言って駆けていくお子さんの後ろ姿を、昇降口まで目で追うお母さんの姿が印象的です。どちらにも「行ってらっしゃい!」と言ってしまいたくなります。お母さんの(時にはお父さんの)熱い視線は、とてもあたたかなものです。
 最後に、最近、5年生の環境委員を中心に朝のボランティア清掃が行われています。8時には始まっているでしょうか。朝の遊びたい時間に、担当の先生と一緒に落ち葉を掃く姿はとても清々しいものです。「爽やかさ」は、自分から進んで行う全てに在るのでしょうか。H小学校は、今日も「爽やかな朝」を迎えています。

 このH小学校は、道路を挟んで「○○宮」の参道があります。鎌倉時代から続く由緒ある神社です。また人の流れも普段から多く、そのため学校の横の歩道は日頃からたばこの吸い殻やポイ捨てのゴミが多いです。しかし子どもらのさり気ない「ゴミ拾い」や「落ち葉の清掃」、そして「たばこの本数一覧表の看板」は、見る人に「訴える」力を持っています。そして子ども達にも、日常を変えなければという「心の成長」も芽生えさせてくれます。
 まさに季節(秋)が子どもを育てるものです。(令和5年11月7日)


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