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絵になる美しい街並みを創造する為の粉本/川越(かわごえ)/埼玉県川越市幸町、元町、仲町 / 防火対策をデザインに活かした街並み


 西武新宿線の終点、本川越駅に接するメインストリートを北へ1キロほど歩くと、平成11年12月に国の「重要伝統的建造物郡保存地区」に選定され、加えて平成19年1月に日本の歴史的風土100選」に選定された「小江戸」と呼ばれる街に遭遇できる。

 この街には江戸期の特色を持つ蔵造りの街並みが存在しており、近代的な大都市に変貌してしまった東京の通勤圏にこんな街並みがあること自体驚きだ。

  これらが存在するのは明治26年の大火で、川越町の約3分の1が消失し、残った建物の多くが土蔵造りだったことから、復興に当たり、火災に強い、この造りを採り入れたのが起こりで、重要文化財に指定されている焼け残った呉服の老舗、大沢家や和菓子の老舗、亀屋の店蔵や袖蔵等を規範にし、細部については江戸時代から地域的に取り入れられてきた江戸商家の造り方を受け継ぎ形成できたのだ。

 これらの建物の特色は街路沿に黒漆喰で仕上げた2階建の切り妻形式の袖蔵と平入り形式の店蔵をワンセットに建て、屋根には桟瓦を葺き、棟瓦を高く積み重ねていることだが、更によく観察すれば大きな鬼瓦の周囲を漆喰で塗り固めより大きく見せたり、2階を壁で覆い閉鎖的にしつらえ、観音開きの如何に重そうな土戸付きの窓を設ける等、かなりデフォルメした個性的なデザインに仕立てていること。その姿は重厚で威厳に満ちており、じっと見つめればタイムスリップして江戸時代に迷い込める感じで、この形態をより増設すれば、我が国を代表する観光スポットになりそうだ。

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