風神雷神

先日、原田マハ著「風神雷神」上下を読み終えた。天正遣欧少年使節の原マルチノと俵屋宗達が出会ったという発想にびっくりした。この本に触発されて、京都へ仕事にいく機会があったので、スケジュールをあれこれやりくりして、作品の中に出てくる「風神雷神図」や「白い象の絵」を見に行った。一日乗車券という便利なものを使って早速実行した。京都のバスは、乗りやすい。京都駅から乗っていったが、清水寺行きのバス停は長蛇の列であったが、私の方は、仕事で伏見稲荷に行かなくてはならなかったので、そのバス停に並んだ。清水寺行きとは違ってあんまり並ばずに、バスに乗車することができた。
 京都駅でバスを待っている間に、一日乗車券と共にもらったパンフレットの中に、芸術鑑賞コースが目に止まった。その中に、「風神雷神」の作中に出てくる、「風神雷神図」や「白い象」があるではないか。これは、いかなくてはと思ったのは、必然といえよう。
 伏見稲荷での仕事は昼過ぎには、終わった。
伏見稲荷神社前のバス停から、八坂神社方面に飛び乗った。目指すは、「風神雷神図」がある建仁寺である。何度もパンフレットと睨めっこしながら、行き先を間違っていないか確認するのは、根っからの小心者のなせる技である。
建仁寺に近いバス停で降りた。しかし、ちょうど12時半を過ぎていた。腹が減っては戦はできぬとは、よく言ったものだ。そこで、昼食場所を探そうとしたら、交差点に面したラーメン屋が、目に飛びこんできた。外観は昭和レトロ風で気に入った。早速中に入って、カウンターに陣取った。ラーメンを注文した。待っている間、また、例のパンフレットて睨めっこしていると、あっという間に、ラーメンがでてきた。細麺にスープは醤油と鳥ガラベースである。メンマと海苔、九条ねぎが刻んであった。京都らしい風情である。温かい内に食べた。スルスルと細麺がスープをまとって口の中に入る、この幸福感がたまらない。あっというまに、幸せな時間は過ぎた。店主の方に、建仁寺の行き方を教えてもらって、いざ建仁寺へ。
 建仁寺では、靴を脱いで早速「風神雷神図屏風」を見た。本物を期待していたが、複製で残念。しかし、見ることができて嬉しかった。風神も雷神も躍動感があった。京都の博物館に本物はあるとのこと。次回、京都を訪れることがあれば、是非本物を拝見したいものだ。
 さて、建仁寺をあとにして、白い象がある養源院を目指した。バスに揺られ、博物館前で下車した。ようやく白い象にお目にかかれると期待して、足早に養源院の門前に着くと、小さな張り紙が貼ってあった。なんと、休みとのこと。トホホである。近くの太閤塀と南門に圧倒された。秀吉の権力の大きさが、伝わってきた。
 今回は、これまで。

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