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北海道の廃線跡探訪 第28回 羽幌線(4/7)苫前~天塩有明間


1.ごあいさつ

ご訪問ありがとうございます。

北海道の廃線跡探訪第28回 羽幌線留萠~幌延間その4 苫前とままえ天塩有明てしおありあけです。

なお、これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。

2.苫前~羽幌

1/5万地形図「苫前」昭和59年第2回編集・「羽幌」昭和55年修正に加筆

苫前は苫前市街の東端にあり、旧構内は縄文時代などの復元住居がある公園「古代の里」となっている。

①古代の里となった苫前駅跡 興津方より望む 中央が苫前町考古資料館(郷土資料館に隣接)
2010年5月撮影

興津おこつ方には町営住宅が建ち、それが尽きるところから路盤が姿を現す。

②住宅地の先から現れる路盤 2010年5月撮影

興津までの路盤は、一部が農地や未舗装道になっているが、だいたい残っている

③作業道となっているところ 興津方からオシルスナイ川の橋跡を望む 2010年5月撮影

オシルスナイ川とヤオシルスナイ川には橋の痕跡はなく、国道沿いに1956(昭和31)年9月設置された興津仮乗降場の跡もない

④興津仮乗降場跡 羽幌方を望む 2010年5月撮影

羽幌線は羽幌市街地南東端に沿い、丘を切り通しで抜けていたが、今ではスポーツ公園のあたりは埋められ、道路とのアンダークロスもなくなっている
その先は細い道となっているが、駅の手前で宅地化されている。

⑤羽幌市街の路盤 興津方を望む 2010年5月撮影

市街の東南端にあった羽幌駅跡はバスターミナルと公園となり、山側にタイル貼りの大きなモニュメントが造られている
モニュメントは抽象的なもので、解説板によると、羽幌線もイメージの一部になっているらしい。

⑥羽幌駅跡にあるモニュメント 2010年5月撮影
左上にあった「ようこそはぼろへ」の文字はなくなった(冒頭写真=2023年9月撮影参照)
⑥モニュメントの解説板 2010年5月撮影

公園のところどころにある、自然石を加工した小さな歌碑にも、羽幌線を詠ったものがある。

⑥羽幌先を詠みこんだ歌の歌碑 後ろはバスターミナル 2010年5月撮影

裏手には大きな製材所や農業倉庫もあるが、沿岸バスの本社ターミナルもある市街中心部の賑わいからは、取り残された感じがする。 

3.羽幌~築別ちくべつ

1/5万地形図「羽幌」昭和55年修正に加筆

羽幌駅構内を出ると道道747号とクロス、築別方には新しい倉庫が建っている。

⑦築堤跡から羽幌方を望む 2017年11月撮影

その裏手には築堤跡が少し残り、今では新河道へのつけ替えにより福寿川となった、羽幌川橋梁の橋台が剥き出しになっている
ちょうど来合わせた人の話では、夏でもきれいにイタドリを刈り、橋台が見えるようにしてあるとのことだった。
改修された福寿川に橋脚はなく、築別方の橋台もない

⑦羽幌川橋梁の羽幌方橋台 左が川岸 右が築堤跡 2017年11月撮影

住宅地を抜けると、羽幌線廃止後掘削された羽幌川まで、短い間、路盤が現れる。
羽幌川の対岸の丘の斜面には、路盤の切り取りと擁壁がはっきり見える

⑧新しい羽幌川から対岸の築別方を望む 2010年5月撮影

国道232号に近づいたところにあった架道橋は跡形もなく羽幌線はここから築別手前までしばらく国道と並行する

道路は上り下りがあるが、鉄道はそういうわけにはいかないから、切り通しや築堤で抜けており、ニカリウシナイ川には小さなコンクリートアーチの橋もある

⑨ニカリウシナイ川のコンクリートアーチ橋 2000年5月撮影

築別は国道から少し入った集落のなかにあった。
集落のなかの道をたどると、ごく短いのに舗装された道がある。これが今は民家の入口に過ぎなくなった、かつての駅前通

⑩旧築別駅前通 突き当たりが駅 2010年5月撮影

駅跡は広大な空き地となり、かつて羽幌線の終点であり、羽幌炭礦鉄道が分岐していた大きな駅だったとは、とても想像できない。
とはいえ、もともと築別駅は羽幌炭礦鉄道のためにつくられたようなものだから、炭鉱閉山後、鉄道建設前に戻ったともいえなくもない。

まだホームや線路が残っていたころの築別駅跡 1988年9月撮影
同上 駅名標 1988年9月撮影

天塩有明方には貨物ホームが残り、夏はヤブに覆われているが、イタドリなどが枯れる早春や晩秋には姿を現す。
貨物ホームとはいえ、羽幌線跡に残る唯一のホームで、羽幌町観光協会発行「羽幌炭砿探訪MAP」にも載っている。

⑩築別駅の貨物ホーム跡 2017年11月撮影

旧駅前の民家の人の話では、今もかつての炭鉱関係者が訪れるそうで、柱につける駅名標も保管されていた。

⑩旧駅前の民家のかたに見せていただいた駅名標 2010年5月撮影

築別駅跡や羽幌炭礦鉄道、羽幌炭鉱などが出ているパンフレットは、羽幌町の主要観光案内所にある(沿岸バス本社ターミナルにもあった)。また、下記でPDFファイルをダウンロードできる。

4.築別~天塩有明

1/5万地形図「天塩有明」昭和48年修正に加筆

築別からは戦後に建設された区間となる
すぐに築別川橋梁を渡るが、痕跡はなく、ここから東側へ、国道と離れていく。
路盤はほとんど放置され、途中の農道にある有明跨線橋から路盤を見ると、どちらの方向もヤブに覆われていた。

⑪有明跨線橋から天塩有明方を望む 2011年7月撮影

再び海岸線に近づき国道と出会うあたりで茂築別川もちくべつがわ橋梁を渡る。川は地図上で見る限り河川改修されておらず屈曲したままだから、期待して路盤に上ってみたが橋の跡はなかった
茂築別川を渡ると、すぐに天塩有明になる。
旧構内は広い空き地になり痕跡はないが、附近には大きな農業倉庫が建ち並び、旧駅前の郵便局は営業中だった。

⑫天塩有明駅跡 築別方を望む 右は駅前郵便局 2023年9月撮影

今回はここまでです。

おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。

次回は天塩有明から豊岬とよさき向かいます。

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