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北海道の廃線跡探訪 第29回 羽幌線(5/7)天塩有明~豊岬間


1.ごあいさつ

ご訪問ありがとうございます。

北海道の廃線跡探訪第29回 羽幌線留萠~幌延間その5 天塩有明てしおありあけ豊岬とよさきです。

なお、これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。

2.天塩有明~天塩栄てしおさかえ

1/5万地形図「天塩有明」昭和48年修正に加筆

天塩有明から路盤は農地化され、痕跡はなくなっている

セタキナイ川橋梁の跡もなく、再び丘陵地帯に入っていく。

羽幌~幌延間は、力昼りきびる古丹別こたんべつ間のような峠越えはないが、勢滝内せたきないトンネルを皮切りに、短いトンネルが10(実質は9)もある

以前はイタドリをかきわけながらようやく到達した勢滝内トンネルへは、踏切跡からトンネル手前までの路盤が、土取場への作業道に使われたらしく、容易に行けるようになっていた。
戦後に開通した区間だから、コンクリート製のポータルや内部もまだしっかりしている

①勢滝内トンネルの天塩有明方ポータル 2017年8月撮影

全長130mのトンネルは、反対側の明かりがはっきりと見える。足元はバラストがそのままなので歩きづらいが、難なく出られた。

天塩栄方は切り通しになっているため、湿気が多いのか、ポータルはコケ蒸し、ツタがからまり、上からも樹が垂れさがっている。

②勢滝内トンネルの天塩栄方ポータル 2011年7月撮影

天塩栄にも何もないが,、路盤はきれいに残っている。
初山別方はヤブとなり、天塩有明方はクルマも通れる伐採地への作業道となっていたが、勢滝内トンネルまでは行けなかった

③作業道となっている区間 天塩有明方を望む 2017年8月撮影
④天塩栄駅跡 2017年8月撮影

3.天塩栄~初山別しょさんべつ

1/5万地形図「天塩有明」昭和48年修正・「初山別」昭和55年修正に加筆

天塩栄から、路盤は一部が作業道となっているほか、ほとんど放置状態になっている。

初山別手前の初山別トンネル(270m)は、接近できる道路がないので、並行する国道から路盤を目指して下りていく。

⑤初山別トンネル手前から栄方を望む 2019年5月撮影

路盤の上はそれほどひどいヤブではなく、ほどなくトンネルのポータルに出会うことができた。
擁壁には「1954-10」の刻印もある。

⑥初山別トンネルの栄方ポータル 2019年5月撮影

ここもしっかりしており、直線だから、反対側の明かりもはっきり見える。通ってみると、初山別方はひどいヤブだった。

⑦初山別トンネルの初山別方ポータル 2019年5月撮影

初山別川橋梁は、手前に少し築堤が残るだけで跡形はない。初山別方の築堤は崩され、宅地化されている。

⑧初山別川橋梁の栄方の築堤 左が初山別川橋梁 2020年5月撮影

道道448号を跨いでいた架道橋もなく、そこから路盤は道路化されている。

初山別駅跡はバスターミナルとなり、ちょうど代替バスが到着、降りた人が2人いた。

⑨初山別駅跡のバスターミナル 2011年7月撮影
⑨同上 2011年7月撮影

あたりは住宅や公共施設が建ち並んでいるが、国道沿いとは対照的に静けさにつつまれている。

4.初山別~豊岬

1/5万地形図「初山別」昭和55年修正に加筆

初山別~遠別間は羽幌線で最後に開通した区間となる。

初山別市街の路盤は道路となり茂初山別川もしょさんべつ橋梁で川と道路を一気に跨いでいたが、ここにも痕跡はない

この先で日本海すれすれに出て、羽幌線のハイライト、初山別陸橋に差しかかる。

⑩廃止後の初山別陸橋 1995年9月撮影

初山別陸橋は、上掲写真のように、国道から見ると、その存在感はスゴかった(圧迫感があって、うっとうしいという人もいるだろうが)。
残しておいてくれたら、初山別村の名所になったかもしれないなどと、つい妄想してしまう。

現在、初山別陸橋自体は姿を消し、国道が拡幅されているが、国道から離れていく北側の築堤とそれに続く金駒内川橋梁は健在

⑪初山別陸橋の豊岬方橋台 この先に初山別陸橋があった 右下は国道 2011年8月撮影

金駒内川橋梁だけでも9本の橋脚があり、現存する旧羽幌線最長の橋梁のはずで、2023年にも変わりなく、残っている

⑫金駒内川橋梁 2011年8月撮影
⑫金駒内川橋梁 2011年8月撮影

羽幌線はここから金駒内川支流の沢づたいに内陸へ向う

金駒内トンネル(455m)へも接近できる道路はないので、南明里の踏切跡からトンネルを目指す。

⑬南明里の踏切跡から豊岬方を望む 2011年7月撮影

踏切から豊岬方の築堤はヤブになっているが、初山別方のトンネルへ向かう路盤は、農地への作業道なのか草もまばら。

⑬南明里の踏切跡から初山別方(金駒内トンネル方)を望む 2011年7月撮影

しかし、そのうちヤブが行く手をさえぎる。7月で暑いうえにアブやヤブ蚊に攻撃され、イタドリにツルや樹木も加わって、きわめて歩きづらい
クマ避け鈴を鳴らしながら進み、ようやくポータルに対面できた。

⑭金駒内トンネルの豊岬方ポータル 2011年7月撮影

入口を塞いだベニヤ板は都合よくはがされ、全長46mあまりと短いので、ここも向こう側の明かりが見える。

キャップランプで足元を確認しつつ入ると、内部は涼しく、アブも来ないので、別天地の感がある。内部には83kmの距離標があった。

⑮内部にあった距離標 2011年7月撮影

初山別方に抜けると、豊岬方にもまして濃密なヤブだった。

⑯金駒内トンネルの初山別方ポータル 2011年7月撮影

トンネルを出た羽幌線は再び海岸へ向かい、豊岬の手前で風連別川を渡る。橋のあった近くまで行ってはみたが、猛烈なヤブにはばまれ、川面を見てみたが何も残っていないようだった。

再び国道と近づいたところにあった豊岬の旧構内は土場になり、原木が積まれている。

⑰豊岬駅跡 2023年9月撮影

駅前通に面したところには、鉄道官舎らしきブロック造の住宅が、半ば草に埋もれていた。

⑰豊岬駅前の旧鉄道官舎 2023年9月撮影

今回はここまでです。

おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。

次回は豊岬から遠別えんべつ向かいます。

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