緊急事態も連発すると緊急事態ではなくなる

2020年2月頃から始まったコロナ騒動。その間、緊急事態宣言は何度出されただろうか。大都市圏では3度目で、都道府県独自のものを加えると、さらに多くなる。

昨年の4月に出された緊急自体宣言は確かに意味があったように思う。なぜなら街から人がいなくなったから。人の移動を抑制することで確かに人と人の接触は少なくなった。でも、2回目の緊急事態宣言から少し様相が変わっていたと思う。ほとんど人の移動も抑制できていない。

では、これは誰が悪いのか?

宣言を守らずに街で遊ぶ元気な若者が悪いのか?

重篤な症状になることを顧みない高齢者が悪いのか?

宣言を出すだけでほとんど有効な対策を打ち出せていない政府が悪いのか?

特定の人たちを炙り出して、敵に見立てるのは魔女狩りのようで気分が悪いし、何よりも最近よく耳にする「分断」を僕自身がやっているようでこれも良くない気がする。

難しいのだけれど、結局のところ緊急事態宣言というものを、事態を打開する最後の切り札・ジョーカーとして出してしまったこと、これを乗り越えたら元の世界に戻ると、僕自身も含めて安易に無自覚に思ってしまったことが原因だと思う。

緊急事態宣言を出したからといってそれですべてが終わるわけではないし、あくまで「宣言」に過ぎない。このことを甘く考えていたとしか思えない。

緊急事態宣言を出したからと言って、人と人の接触をゼロにできるわけがない。学校に行かなければいけないし、仕事もしないといけない。業種によっては完全に在宅勤務できない場合もある。僕もそうだ。ほぼ毎日、出社している。

地震が頻発していたら慣れてしまうし、緊急地震速報が鳴っても、「ああ、またか」と思ってしまうこともあると思う。政治家がよく用いる「誠に遺憾です」という言葉。この言葉も使用頻度が多すぎるゆえに緊急性が伝わってこない。それらと似ていると思う。

申し訳ないけれど、緊急事態という感じがしない。宣言を出す前と出した後でまったく変わらないから。

これの何が危険かと言うと、早期に切り札であるジョーカーを出してしまったがゆえにもう手札にはジョーカーに勝るカードが残っていないこと。手札には「自粛」、「ステイホーム」、「まん延防止措置」という雑魚カードしか残っていない。

「ワクチン」というカードが残されているのでは、と思うかもしれないけれど、そもそも「ワクチン」が最後の切り札という認識は当初にはなく、緊急事態宣言を出しさえすれば、あとは自然にウイルスも消えていくでしょうくらいに思っていた人も多いはず。そのことが、僕も含めて考えが甘かったのだろうなあ。

ワクチンっていつ打てるようになるのだろうか。国民全員が打てるようになるまであとどれくらいかかるだろうか?

今年の年末時点で全員に行き届いているだろうか?

日本はワクチン接種率が非常に低い。東京都に大規模のワクチ接種センターを作るように指示したのも5月に入ってからのようだ。

ワクチンを最後の切り札として動いていたらもう少し変わったのでは、と思うのは僕だけだろうか。




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