香菜さんの男子禁制酒場(2) 「この世で最も嫌いな女、それは美味しんぼの栗田」
「あら、珍しい」
居酒屋「円」の古い木枠の扉を開けて入ってきた客を見て、カウンターに立つ香菜さんは高い声を出した。
「来ちゃったわよ」
企みの笑みを浮かべてカウンター席に座ったのは、ちょっと太めな中年女性だった。
「どうしちゃったのよ?繁美さん?主婦がこんなところで」
カウンターの端っこで飲んでいた常連のタクさんが声をかける。
繁美さんと呼ばれるその珍客はスーパー茜屋のベテランパートで
あり、お惣菜コーナーのチーフである。
「あら、やだ、タクさん。あんたいたの?」
「『